コメントで教えてもらったsiennaさんのブログのディープエッジvsブレードバランスがものすごくおもしろい記事でした。教えてくださってありがとうございます。siennaさんのブログは巡回してるのですけど、納期に追われてこの記事みてませんでしたアセアセ

 

あまりに面白かったので、リブログして、ついでに駄文も書いちゃいます。

 

 

今の男子フィギュアスケーターで、パトリックと羽生君が二極をいってるように思うのですが、氷への圧力がかんじられて、ぎゅーん、ってよく擬声語つかっちゃうディープエッジで説明できるパトリックとちがって、羽生君のは説明できない。時々、擬声語で表現できなくもないところもあるのですけど(するな、とよくいわれますがB型はこの手の擬声語で自分の感触を表現することに無常の喜びを感じるのです)、あくまで音楽表現をあらわすだけのもので、いっている本人があのスケーティングの本質をあらわしてるものになってるとは思えません。つまり、決まった音で表現したくなるスケーティングでない。

 

しいていえばものすごいスピードのあるふわ、ですかね。ディープエッジのきいたスケートって重みを感じるのに対して、感じるのはクラシックバレエ的な軽さですから。バレエダンサーでも最上級のタイプ。重力の制限から開放されてるみたいな。ジャンプでも、どすん、とはほど遠いでしょ?「羽生は — 柔毛(にこげ)のようにさっと舞い上がり、バターの中にいるように空中を滑る」 というメドベの言葉を見たときは、まさにこれだと。


ともあれ、羽生君のスケーティングは大いなる謎だったのですが、

 

siennaさんのブログのゴルデーワのスケーティングの説明をみて、やっとあのスケーティングの理屈がわかりました。そうです、ゴルデーワも体重を感じさせないスケーティングをしてました。どこまでも滑らかで、すべらかで、氷の上で浮いていて、空気が押してくれてるみたいな。

 

ペアは巨人のような男性に対して小柄な女性の組み合わせになりがちですから、体力の劣る女性がスケーティングでスピード負けしてるというか、ものすごく苦労してあわせているようにみえることがけっこうあります。ゴルデーワでそれを感じたことはありません。あの身長差のあるグリンコフのスピードにぴったりと寄り添えました。パワーのなせる技とはとても思えませんでした。もしパワー頼みだとあのロマンチックな雰囲気はだせなかったでしょう。

 

ゴルデーワのスケーティングの特徴はsiennaさんのブログでは次のように説明されてます。

 

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ゴルデーワはブレードに乗るバランスの良さでスピードを出せているようね。ディープエッジで押したり引いたりは加速の一つの方法ではあるけれど、エッジをどこにも引っ掛けないことで減速を起こさないという方法もある。彼女のやり方は後者だと思う。

 

ブレードってトウピックのすぐ後ろの部分が一番エッジ(の溝)が浅く作られていて、そのエリアで滑れば氷の抵抗が最も少ないの。ゴルデーワの滑りが力を入れていないのにスピードがありスムーズなのはこの方法で滑っているからだと思う。常に力を込めてスピードを作りだすのではなく、効率的に滑ることで減速しない。

 

ゴルデーワの技術は、クルマで言えばコーナリングにおいてブレーキングよりも主にタイヤ自体が持つ自然抵抗に任せる方法だ。エネルギー保存の見地からはこちらの方が効率がいい。ただ、問題が2点ある。

 

第一に、この方法ではカーブに入るスピードが比較的遅いほうがやりやすい。また、元のスピードが同じならば物体が軽い方が有利だ(スポーツカーが小ぶりな理由)。一般論として、男子スケーターが同等のスピードの時ゴルデーワ並みの効率性を達成するためにはブレードはもっと大きくて尖っている必要がある(SUV等大型車のタイヤが大きい理由)。

 

第二に、このテクニックはミスする可能性が非常に高い。ほんの少しの誤算でコントロールを失ってしまう。特にスピードが出ていたり、体重が重い時に起こりやすい。

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つまり、究極にむずかしいこと、特に男子では不可能と思えるようなことを羽生君はやってしまってるのですか...理屈がわかった後には絶句が待っていた...

 

副産物としまして、ゴルデーワがみたくてたまらなくなり、いくつも見てしまいました。このペア、なんてすてきなんでしょう。史上最高、究極のペアかもしれません。そりゃあ、ツイストだのスロージャンプだのはいまのほうが難しいことやっているのですが、でもこの雰囲気とスケーティングはとてもとても。

 

全部貼りたい気持ちになりましたが、さすがにそれはやり過ぎなので、昔から好きでたまらないヴォカリーズだけ貼っておきます。これ、ズエナの振付なんですよイエローハーツ

 

 

 

ついでに書いちゃいますが、ゴルデーワと同じ感触のスケーティングを一番やってるのが真央ちゃんじゃないかしら。いろんな表情をつけれる人ですが、基本的なスケーティングの感触がふわり。とんでもないようなフローとか、減速しないコーナリングとかも。