今、ちょっと話題になっている本です。
その「英語」が子どもをダメにする (青春新書インテリジェンス)
994円
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日本語をちゃんとマスターする前に英語学習(特に会話)を学習すると、英語がマスターできないどころか、日本語の習得すらも困難になる。実際に、英語の先生や実際に海外のおられる親御さんの話を聞くと、日本語をしっかりとマスターしている子どもの方が英語の習得が早いという傾向があるそうです。
英語が話せるかどうかも問題ですが、それ以上に、日本語の言葉を深い理解ができていない子どもが増えているそうです。
考える力という言葉をよく聞きますが、考えるという行為は、母国語で行われます。つまり、日本人は、日本語が堪能でなければ、それを使った思考もそれなりになってしまうということです。
英語を話せることに注力しすぎて本来に身につけなければならない、日本語の習得がおろそかになる。その結果、軽薄短小な日本語しか話せない大人になってしまいます。それは、英語もしかりで、日本語が軽薄短小であれば、英語も軽薄短小になるのは、必然です。
データとしても
中学生の読解力が低下していることが、国立情報学研究所の調査で明らかになった。教科書や新聞記事などを題材につくられた問題で、文章の構造や理解力を測った。中高生約2万人を対象に分析が行われた。その結果、「主語がわからない」「推論や2つの文章の違いが理解できない」など、中学3年生の25%が、教科書レベルの基本的な読解力を身に付けていないことが分かった。調査を行った同研究所の新井紀子教授は、「読解力が低く教科書が読めないと、自力で新しい知識を得ることができない。運転免許など資格も取得できず、社会生活に支障が生じる」と述べている(23日付読売新聞)。
これは、国語、英語に限った話ではなく、実は、算数の方がもっと深刻です。計算ばかりをしていて、数(すう)の意味を理解していない子どもが少なくありません。さらに、数の意味を超えて、足し算の意味や引き算の意味、果ては、かけ算、割り算、といった基本的なことを全部理解していない子どもとなると、ほぼ大半といっても過言ではないかもしれません。
特に割り算の意味は、先生方も果たしてどこまで理解できているかはなはだ疑問です。正しい理解がなければ、それを使った思考にも穴ができてしまいます。
算数と数学は別の学問です。算数が昇華して数学になるのではなく、算数は、数学、化学、物理へと広がる基礎学問です。ですからただ計算ができるとか、問題の解き方を熟知しているだけでは、肝心の数学、化学、物理の礎が培われず、理系が苦手だから文系を選ぶという、最も最悪の選択をすることになります。
算数を丁寧に根底から理解することこそが、理系への近道であり、考える力をつける近道なのです。