彼女が地下鉄サリン事件を知ったのは、テレビを見ているときでした。官公庁が建ち並ぶ霞ヶ関駅で、地下鉄が止まっているニュースでした。
1995年(平成7年)3月、化学兵器として使用される神経ガスのサリンが地下鉄の車内で散布された事件です。
慌てて夫の勤める本庁舎へ電話をかけると、何も知らない夫は何が起きているのかさえ分かっていなかった、とXさん。
その日、いつもなら地下鉄を利用する夫ですがJRで東京駅へ向かいました。
体調を崩している私を心配する彼は、家を出る時間が遅くなり急遽通勤方法を変更したのです。
事件の発生した時間に駅にいるはずの夫は、難を逃れたというわけです。
夫は何かに守られたと思いました。
彼女の夫は、助けられたのです。
夫を助けたのは「孔雀明王」でした。
つづく