それは亡き父の法要での出来事でした。
菩提寺の住職が須弥壇の前に座った時でした。
バラバラと何かが床に落ちる音がしました。
和尚さんの持っていた数珠の飛び散る音が場内に響いていたのです。
僧侶は読経の前に行う作法があります。
宗派によって異なりますが、念珠は読経の必需品です。
僧侶の念珠が飛び散った様子を目の当たりにしたXさん。
不穏な空気を感じたといいます。
念珠は大切な法具というだけでなく、念珠を使い仏に手をあわせることで、煩悩を消し功徳を得ることができます。厄除けのお守りとなるのです。
数珠がはじけ、珠が床に転げてしまった僧侶は、仏の力によって正されようとしていました。
仏の道をあゆむ身となっても、なお一層の精進を期待されていたようですから・・・合掌