
護摩行を目前で体験するのは35年振り。
錫杖の拍子に合わせ、ただひたすらお不動様のご真言をあげつづける。
5時間、6時間、7時間。
炎の熱さ、御導師さまの息遣いを間近に感じる。
2日目に入り気がついた。
御導師様が一座毎に唱えられる
以我功徳力
如来加持力
及以法界力
普供養而住
今、
この場はお不動様、
不動明王と一体化した御導師様、
錫杖に合わせ一心に真言を誦える行者が織り成す法界である。
この法界で、
半跏坐、
手に印を組み、
真言を力の限りあげ、
目の前にある護摩の炎、
不動明王の境地に溶け込む、
つまり、
これは三密加持による瞑想法。
集団で上げる不動明王呪、
呪は倍音声明となり炎とともに更に深い境地に我々を導く。
3日目、
護摩の煙に喉がいぶされしゃがれてくる。
喉で誦えるのでなく腹で誦えるようになる。
すると自然にホ-ミ-の発声法のひとつであるハリハラ、超重低音倍音発声となる。
丹田が震え、
地面が震える。
脳天まで震えてくる。
炎にも観応。
なんとも言えない心地よさ。
内外の五大、悉く聲響を具す。
一切の音響、五大を離れず。
五大これすなわち声の本体。
音響すなわち用(働き)。
まさにこの世界だ。