般若心経秘鍵 科目試験「空海思想の活かし方」 | 「明海和尚のソマチット大楽護摩」

「明海和尚のソマチット大楽護摩」

ソマチット大楽護摩は、古代ソマチットを敷き詰めた護摩壇
で毎朝4時から2時間かけ護摩を焚きカルマ浄化、種々護摩祈願を行なっている。

『般若心経秘鍵』を学習した後に、あなたの日常生活の中で生かしてみようと考える弘法大師空海の思想、あるいは、生き方について、どのような点を、どのような生活面で生かしてみようと考えるかを具体的に述べなさい。

 

 『般若心経秘鍵』の真髄は最後の頌にあるとみる。 

 「真言は不思議なり 観誦すれば無明除く 一字に千里を含み 即身に法如を証す 行々として円寂に至り 去々として原初に入る 三界は客舎の如し 一心は是れ本居なり。」

 頌文は秘蔵真言分の要旨を説いたものであり、最初の四句は一行阿闍梨の字母表に悉曇五十字門の徳を賛嘆した句をかりて、総じて真言の功能を嘆じ、後の四句は高祖の自作の頌で、大心真言の句義を釈している。特に「一心」は般若菩薩の干栗多本心であり、般若心経の心であり、一切衆生の一心である。真言密教の実義は三界が直に三部三密の体性であり自心の宝処であると知り煩悩即菩提、生死即涅槃と証悟することにある。(注1)

 日々の行法(理趣経法但し自行用)の中で般若心経を唱えるのは「神分」の部分である。「外金剛部の金剛天等を始め奉て(中略)威光倍増の為に 般若心経」つまり、天部始め日本国中の神々に真言密教の実義を知っていただき威光倍増してもらうことである。

 では、具体的にどうすれば良いのか。行法の中で一番肝要な部分は入我我入観、正念誦、字輪観の三種秘観の部分である。

 具体的な事例として、念誦と念珠の関係に見れる。『別行次第秘記』浄厳(天和三年1683年)撰に念珠の標幟等について百八尊は十六尊より開立する。・・金剛頂経の一百八名

とある。

 金剛薩埵(6名)

金剛勇よ大心よ金剛諸如来よ普賢よ金剛初よ金剛手よ我敬礼す。

 金剛王菩薩(7名)

金剛王よ妙覚最上よ金剛よ如来よ不空王よ金剛最上よ金剛召よ我敬礼す。

 金剛愛菩薩(7名)

金剛染よ大楽よ金剛箭よ能伏者よ魔欲よ大金剛よ金剛弓よ我敬礼す。

 金剛喜菩薩(7名)

金剛喜よ妙金剛勝よ金剛戯よ大敵よ歓喜王よ金剛首よ金剛喜躍よ我敬礼す。

 金剛宝菩薩(7名)

金剛宝よ妙金剛利よ金剛よ虚空よ大宝よバザラヂヤよ金剛蔵よ我敬礼す。

 金剛光菩薩(7名)

金剛威よ大焔よ金剛日よ仏光よ金剛輝よ大威よ金剛光よ我敬礼す。

 金剛幢菩薩(7名)

金剛幢よ善利友情よ金剛幡よ妙喜よ宝幢よ大金剛よ金剛杖よ我敬礼す。

 金剛笑菩薩(7名)

金剛笑よ大笑よ金剛喜笑よ大稀有よ愛喜よ金剛歓喜よ金剛愛よ我敬礼す。

 金剛法菩薩(7名)

金剛法よ善利友情よ金剛蓮よ妙浄よ世自在よ金剛妙眼よ金剛眼よ我敬礼す。

 金剛利菩薩(7名)

金剛利よ大乗よ金剛蔵よ大器仗よ妙吉祥よ金剛甚深よ金剛覚よ我敬礼す。

 金剛因菩薩(7名)

金剛因よ大曼荼よ金剛輪よ大理趣よ能転者よ金剛起よ金剛場よ我敬礼す。

 金剛語菩薩(6名)

金剛説妙明最上よ金剛念誦よ妙悉地を与える者よ無言金剛よ勝悉地よ金剛語よ我敬礼す。

 金剛業菩薩(6名)

金剛業よ妙金剛教勅よ業金剛妙遍よ金剛不空よ極広大よ金剛巧よ我敬礼す。

 金剛護菩薩(7名)

金剛護よ大勇よ金剛甲よ大堅固よ難敵よ妙勝精進よ金剛勤よ我敬礼す。

 金剛牙菩薩(7名)

金剛夜叉よ大方使よ金剛牙よ大怖よ摧魔よ金剛峻よ金剛忿よ我敬礼す。

 金剛拳菩薩(6名)

金剛密合よ善現験よ金剛縛よ善能解放よ金剛拳勝誓よ金剛拳よ我敬礼す。(注2)

 念誦を行うにあたっては百八尊それ自体は、十六大菩薩の一部の性質の現れであるから、それ自体には入我我入は行わない。それを把握し、大日如来との入我我入を深めるために使うようにする。そうすることで、諸々の性質に命が吹き込まれ、自分の中に生き、必要に応じて、自由な組み合わせで守護になると考える。つまり念珠は百八尊という最小単位で成り立ち相互供養が行われるからである。もう一つは、真言の発音である。空海が唐で般若三蔵に習った現地のサンスクリット語の発音が望ましい。

 これにより日々刻々、金剛薩埵として生きていく。

 

(注1)テキスト『般若心経秘鍵講説』(小田慈舟著『十巻章講説』下巻、高野山出版社、1985年発行)

(注2)『真言密教事相概説ー四度部ー』上田霊城 同朋舎出版 1986年発行)