バレンタインには南君にチョコレートを渡したい!
そして今又、文太が純子を相手に大暴れしている!
それから私はもう此の家を出て行く!横浜へ行く!と
電話で早紀が泣く。
横浜とは社長の息子の大学生の所らしい。
それと、どうやら父文太が又Drugを使ったみたいだ。
その時伸二はもう呑んでいた、
とにかく着払いでいいからタクシーで寮まで来い!と言うしかなかった。又々深夜の事。
彼女は友達から金を借り予想よりも早く寮へ到着した。
そして伸二は、また早紀を抱いた。
今の早紀にはもう僕しか頼る人が居ない、
親心とも兄心とも言えない、かと言って恋心か強いて言えは男心とでも言うのか、この娘は僕が守ってやる!・・・
伸二は自分の頼り無さは顧みず、男気ばかりの盲目男へと変身して行った。
彼女にとって伸二が今一番必要な人だとするならば、伸二にとって早紀は何よりも一番の宝物になっていた。男としては当然の事だろう、ましてやもしもの二世が出来ているとしたら、
それは人生最高の最後の青春の証しとなるかも知れない。
又それが気掛かりで心痛している36歳の良識人おとなも見え隠れして心は裏腹状態。
待望の二世も今だから欲しい、次の機会なんて・・・いつの事か。
伸二と昔の女との堕胎児がもしもこの世に生きていたとしたら、今頃は早紀ぐらいの年頃に育っていたかも?いや、まだそこまでは・・・?、
そんな事も解ってか解らずか?、得手勝手な男の物語りが此処から始まるのである。
塚原早紀17歳の冬の事・・・。
それから一周間、
案の定、彼女は生理が来ないと言い出した。先月も無かったらしい、
そしてその深夜、伸二の部屋の電話のベルが、けたたましく鳴った?。
そもそも、この妊娠不安が無ければ早紀にとって伸二は、ただの通り縋りのおじさんだったのかも知れない。
本当に彼の愛情が伝わったのだろうか、
やはり兄として、相談役として心から頼り過ぎたその結果の、大きな勘違い?なのかも知れない。
Sex!はそれへの御礼!
ただの御礼だった?早紀からの・・・。
だとしたら、かわいそうな二人である。
まだ気付いていない、いや大人の伸二は気付いてて気付かぬふりを?・・
・
或いは気付きたく無かったのかも?・・・
運命とは墓穴を掘る事から始まるのだろうか。
つづく