チェルミー図書ファイル181

 

 

今回ご紹介するのは、小杉拓也さんの「中学校3年分の数学が教えられるほどよくわかる」です。

 

 

こちらは以前レビューした「小学校6年分の算数が教えられるほどよくわかる」の中学生版となります!

 

 

 

書籍紹介

ロングセラーの前作、『小学校6年分の算数が教えられるほどよくわかる』に続く第2弾!“中学校3年分の数学”ではボリュームも内容も大幅にパワーアップしています。前作同様、すっきりと読みやすい文章、「なぜ?」「どうして?」と疑問が浮かんではその都度きちんと解説していく展開は、誰もが安心して読み進めることができます。今作ではそれに加えて数学の歴史にも随所で触れられており、数学がどのような人によってどのように発展してきたのかを知ることができます。「なんとなく」の理解から「人に教えられる」ほどの本当の意味での理解へ。中学生が読んでも大人が読んでも役に立つ、実用と深みを兼ね備えた渾身の一冊です。(Amazonより)

 

 

著者について
小杉拓也

東京大学経済学部卒。プロ数学講師。志進ゼミナール塾長。 プロ家庭教師、SAPIXグループの個別指導塾の塾講師など15年以上の豊富な指導経験があり、常にキャンセル待ちの出る人気講師として活躍している。 現在は、学習塾「志進ゼミナール」を主宰し、小学生から高校生に指導をおこなっている。毎年難関校に合格者を輩出している。 数学が苦手な生徒の偏差値を18上げて難関高校(偏差値60台)に合格させるなど、着実に学力を伸ばす指導に定評がある。暗算法の開発や研究にも力を入れている。 著書は、『小学校6年分の算数が教えられるほどよくわかる』(ベレ出版)、『小学校6年間の算数が1冊でしっかりわかる本』(かんき出版)、『中学校3年間の算数が1冊でしっかりわかる本』(かんき出版)、『ビジネスで差がつく計算力の鍛え方』(ダイヤモンド社)、『この1冊で一気におさらい! 小中学校9年分の算数・数学がわかる本』(ダイヤモンド社)など多数。

 

 

ミニ参考書

小学生版が算数が苦手な子への教え方をレクチャーする本だとしたら、中学生版は数学が苦手な子向けのミニ参考書といった感じ。授業でやったけれど理解が浅かった内容や、自身が取りこぼしている内容を確認・復習できる作りになっています。
 
それもそう。中学生となれば、ある程度自分で読んで理解する力も大切になってきますよね。おそらく中学生版は、「教えられるほどよくわかる」の意味が「教え方」だけでなく、「学習者本人が人に教えられるほど深く理解する」ことを目的にしているのだと思います。
 
もちろん、数学が得意な子には他の参考書や問題集をオススメします。本書はあくまでこれから数学の入り口に立つ子への予習本、数学が苦手な子への基礎理解として参考にしていただければと思います。発展問題はないので、実力がついたら少し難しめの問題集などを買って、チャレンジしてみてください!
 

 

↑3年間の単元がまとめてあるのでかなり分厚いです(4cmくらいはあるかも・・)

 

 

チェルミーポイント

言語として読む数学という感じなので、女の子に理解しやすい本だと思われます。個人的に教科書よりイイ。

 

 

わからないキモチ

このシリーズの良いところは、わからない子のキモチに寄り添っているところです。どの教科もそうですが、数学が得意だったり好きだという人に教わったからといって理解できるわけではありません。授業で教わってもわからなかったことを、家で兄ちゃんに聞いたら「そういうことね~」となるのは結構あるあるな現象だと思います。
 
わかる人にはわからない部分が、わかっている本。説明してほしい部分がいちいち丁寧に書かれている本。なんでこんなにカユイところに手が届くんだ~と、ありがたいのがこの本。私自身も数学が大の苦手ですが、なぜか人に教えるとなると、得意科目よりもわかりやすいとなるのですから不思議です。
 
これは自己分析になりますが、わからない人にはわからない同士のテレパシー的なものがあって、多分ここでつっかえているんだろうな~というのを察知できるんですよね。それで、こう教えるより、こう伝えた方が通じる!なんてのが本能レベルでわかってしまうのです(笑)
 
しかし世の中には例外がいます。それが小杉先生です。本当に頭の良い人は自身の理解度も優れていれば、教え方にも優れています。数学が得意で好きなのに、わからない人のキモチもわかっている!!そんな数学難民にとっての救世主のような本が「中学校3年分の数学が教えられるほどよくわかる」となんですね。
 
 

歴史も学べる

小学生版と最も違うのが「数学の歴史」を取り入れているところです。本書の目的のひとつに、数学を好きになってもらうという狙いがあることから、「数学のさまざまな公式の背景には、わくわくするような歴史がある」ということを知ってもらいたいそうなんです。
 
古代から現代までの数多の数学者たちが試行錯誤し、積み重ねてきた理論や閃きの結晶。こういう話は学校では絶対に教わらないことなので、とても素敵な試みだと思いませんか。私も数学が得意な人から、おもしろエピソードを聞いて、何とか大嫌いにまではならずにすんだ人種なので、ロマンや美で訴えてくるスタイルは効果的だと思います!
 
 
ちなみにこんなエピソードが掲載されています
 
・紙を51回折り曲げると太陽の高さに届く(これは私も知ってた!)
 
・古代エジプトの数学の問題が1次方程式で解ける
 
・江戸時代の人々を悩ませた三平方の定理の問題
 
・残り物には福があるのか(確率の問題より)
 
 
他にも色んなエピソードが盛りだくさん。また、「がくもん散歩」という数学コラムも掲載されているので、ちょっと休憩がてらに読むのもいいでしょう。
 
 

おわりに

私の中学校時代にはなかった単元が登場したり、中二、中三で習っていた内容が中一に変更されていたりして、現状把握の機会にもなりました。中一なんてまだ正の数、負の数でしょ!と思いつつページをめくると、はやくも素因数分解が登場して驚きました。油断なりません(笑)
 
読んでいるだけだと「ふん、ふん、このくらいならまだ私でも大丈夫ね」と、安心しちゃうので、ちゃんと問題を解きました。一問解いては答えあわせをしてホッとし、自分の脳みそが正常か否か確認していました。途中あやしげなところがありましたが、無理やり合格としておきます。
 
今回は中学数学の本でしたが、実をいうと、昔と比べ一番変更の多い教科は英語だと思っています。今は小学校から必修科目になっているので、中学で学ぶ内容が小学校へ、高校で学ぶ内容が中学校へ下りて来ている状態です。小学校では文法を細かくやらないのに、教科書には中学で習う単元が普通にわんさか出てきます。リスニング、スピーキング能力も求められ、英会話経験者が有利になっています。もしかすると、今後英語は全教科の中でもっとも差がでる科目になるでしょう。将来的には、数学ではなく、英語の成績が試験結果を左右するかもしれません。
 
現代っ子は求められるものが多く、少々かわいそうな気がしますが、情報は昔よりも手に入る世の中なので、自分に合う学習方法を見つけて厳しいテストを乗り越えていってほしいです。
 
ちなみに中一に聞く一番イヤな教科は、数学でも英語でもなく「社会」
 
それも「地理」が多いみたいです・・。(チェルミー調べより)
 
何気に小学校でやる社会と中学でやる社会は深さが違いますよね。それに興味がないと暗記する気もないのだとか。確かにね。
 
 
今は定期テストも中間を廃止し、期末だけの学校が増えて、かわりに授業ごとに小テストをすることも多いようです。日本は市販テキストの宝庫なので、塾に通えない子はお安いテキストで対策してみてください。
 
以上、「中学校3年分の数学が教えられるほどよくわかる」のレビューでした。
 
 
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