一時保護所の生活・一日の流れ | 児童養護施設で働いて思うこと

児童養護施設で働いて思うこと

元会社員で、転職し、児童養護施設と一時保護施設で働いていました。
そこで考えたこと、思ったこと、願ったこと、綴っています。

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一時保護所の生活を、もう少し詳しく書いてみようと思う。

もしかしたら、身の回りで保護された子がいて、気になる人がいるかもしれないと思ったから。

ただ、保護所によって、生活やルール、その厳しさや緩さはバラバラなので、みんな同じではないです。

あくまで、私が働いていた保護所の場合。

 

 

朝は、6時~7時くらいに起床。

寝るのは1人の個室。プライベートは守られます。

兄弟で一緒に保護された場合は基本的に一緒の部屋になります。

その方がお互い安心できるから。

 

朝6時までは、目が覚めても自分のお部屋にいるルール。

他の子がまだ寝ているから、起こさないために。

このルールを子供に説明すると、「えー早く起きたら暇じゃん」って反応が多いけど、子ども達が6時前に起きて暇していることは、一度もなかった。

 

6時~7時の間に自分で起きられる子は、自分で起きてもらう。

自分で起きられない子は、7時に起こす。

それでも起きられない子は、無理せず寝せておく。

1週間くらいすると生活が整ってきて、自然と朝起きられるようになることが多かった。

起きたら、顔を洗って着替え。

 

7時~7時半ごろ、朝食開始。

私の保護所は時間に厳しくなかったから、早起きの子がそろっていたら早く(7時に)食べるし、遅くまで寝ている子ばかりのときは、7時半ごろご飯を食べた。起きる時間がバラバラで子ども達同士が仲良くなかったら、時間をずらして食べたこともあった。

7時までに起きられない子は、起きてから朝ごはん。10時11時とかに朝ごはんを食べることもあった。ルールにしばられず、子供が気持ちよく過ごせるように工夫していた。

 

朝食後は歯磨き。

職員が食器を洗ったり、簡単な掃除をしたりする間、子どもは少し自由時間。

 

学校へは基本行かない。行くこともあるけれど、色々なパターンがあるからここでは省略。

日中は活動時間。午前と午後。

子どもによってだけれど、基本的に、学校へ戻った時に困らないように、勉強する。職員が付きっ切りで勉強を見ることはほぼないので、さぼろうと思えばさぼれる。真面目に勉強する子もいれば、部屋で勉強すると言って部屋に入って、勉強をしないで遊んだり寝ている子もいる。職員は、どうするかを見ているだけで、怒らない。どういう子か見たい、どんな子か知りたいというのが一番。そこから親にとってどんな育てにくさや苦労があるのかわかることもある。

 

保護所に来る子の多くは、勉強が苦手。特別支援クラスの子も半分くらいいた。

逆に、勉強ができるタイプの子は、勉強を強要されて苦しんでいた子もいる。勉強ちゃんとしろと言って暴力があったり、成績が下がったといって言葉や体の虐待があったりする家庭もある。一時保護所は学校じゃないし、塾でもない。勉強ができるようになるところじゃない。だから、無理はさせない。日課として組んではいるけれど。

 

過去2,3人だったけれど、「勉強しなくていいんだ、ラッキー、ここにいれば勉強しなくていいし、学校行かないくていいし、家に帰りたくなーい!」ってなるタイプの子もいて、そういう子には、「毎日1ページは勉強する」とか、課題を作ってた。一時保護の理由が、「家庭の問題」から「サボりたいから」に替わってしまわないように。

 

活動時間で、勉強以外の時間は、テレビを見てまったりしてもいいし、遊んでもいい。

眠かったら寝てもいい。

児童相談所の許可があれば一緒に散歩もした。

日用品の買出しに一緒についてきてもらうこともあった。

そういう時は、おやつを一緒に選んだりした。

 

12時頃お昼ごはん、3時ごろおやつ。

 

幼児、小学生は夕食前にお風呂。

中学生、高校生は、夕食後にお風呂。

お風呂は一人ずつ交代で。

もちろん男女別。男女それぞれに浴室とトイレがある。

 

夕食は6時から。遅いと6時半ごろ、食べ始める。

 

夜は、幼児は8時、小学生は9時、中学生高校生は10時就寝。

一人で寝るのが寂しい小さい子は、職員が隣でとんとんした。

高校生でも、何か言いたげな様子があれば、「お布団かけようか?」と聞いて、

お部屋まで見送って、お布団をかけて、少しおしゃべりして寝てもらった。

寂しかったり、人恋しい気持ちはできるだけ寄り添いたかった。

 

暖房冷房もちゃんとついていたし、掃除も行き届いているし、寝具も洋服も洗濯がされていて清潔。

栄養のある食事をおなか一杯食べられる。

テレビも漫画もソファもあって、快適な生活に必要な物はそろっていた。

家だけ見たら、私の家より清潔で快適だと思っていた。

 

でも、子供は一人で外出できないから自由がない。

最初はみんな楽しそうだけれど、室内でやれる遊びも限りがあるから飽きて暇になる。

暇が一番苦痛だったと思う。やることがない。やりたいことがない。

家族に会えない事や、家族問題への不安も常に抱えていて、つらそうだった。

 

 

不思議なのは、保護所に来た最初、よく寝る子が多い。

日中ほとんど寝ている。夜も寝る。朝も起きてこない。

食べる以外、一日寝ている。

だんだん睡眠が足りてくると、夜寝て朝起きる、整った生活になる。

そして、家に帰る話が進んでくると、また眠り始める。

日中部屋にこもって寝て。夜も寝て。朝も寝起きが悪くなる。

家に帰って頑張れるように、体が自然と力をためているのかなと思っていた。

睡眠の代わりに食事量が変化する子もいた。

 

そんな感じの毎日を送っている。

保護された子を心配している方たち、

保護所の生活面はちゃんとしているので、ご安心ください。