一時保護所に来たあとは | 児童養護施設で働いて思うこと

児童養護施設で働いて思うこと

元会社員で、転職し、児童養護施設と一時保護施設で働いていました。
そこで考えたこと、思ったこと、願ったこと、綴っています。

一時保護所に子供がきても、滞在は短期。

基本的には、長くて2か月というのが目安。

 

早いと1週間くらいで帰ることもあるけれど、それは珍しかった。

だいたい親子の不調和があるから、短くても1か月、平均すると、やっぱり2か月弱くらいかかっていた。

児童相談所の人が、親と、子どもと、それぞれ面接して、気持ちをすりあわせていた。

親子、それぞれが嫌だったこと、望んでいた事、どんな家族でいたいと思っているのか。

親子で納得できたら、家に帰っていった。

子供が嫌だというのに無理に帰すことはなかった。

 

家に帰らない場合、施設の調整をして、入所。

施設に入所すると決まったら、あとは早い。

定員に空きがある施設と児童相談所が調整し、1週間くらいで入所していた。

加害行動がある場合は、施設の子どもとの相性を考慮し、行先が決まるのに時間がかかることもあった。

親が他県にいる場合も、児童相談所がやりとりするのに時間がかかり、長期滞在になることが多い。

 

里親へ行く子もいたが、私の経験ではとても少なかった。

1年に1件もなかった。

 

一時保護所の子ども達は、短期である分、入れ替わりが激しく、たくさんの子との出会いがあった。

子ども達の心境は様々だった。

多くは不安や寂しさで、マイナスの気持ちを持っていた。

親から離れて安心する子もいたけれど、独りぼっちは初めてで、やっぱりたいてい不安だった。

 

だから、なるべく明るく過ごせるように努めていた。

 

たくさんおしゃべりして楽しい気持ちにもっていったり、

オセロやトランプで遊んだり、

許可があれば、散歩に出たり。

一緒にテレビを見たり、絵をかいたり。

食べたいものがあれば、メニューに取り入れたり、

読みたい本や漫画があれば、施設の図書室から持ってきたり。

リクエストはなるべく叶えるようにしていた。

 

楽しく過ごしてくれるけれど、心の不安が膨らむのはおさえきれず、

子ども達はよく泣いていた。

小さい子たちは「ママー」「おうちに帰りたいよー」って。

大きい子たちは「私が悪かったのかな」って・・・。

 

一時保護所では、本当に子どもたちの涙をたくさん見た。

泣かなくてすむように、楽しい気持ちで過ごしてほしい一方で、

泣きたい気持ちを我慢させるのが嫌だったから、私は泣くのにもつきあった。

たいていは、泣いたからと言って解決するわけではなく、スッキリするわけでもない。

でも、吐き出すところも必要だって思っていた。

正直、泣くのに付き合うのは時間もかかるし、こちらの気持ちも持って行かれる。

だから、色々な仕事が後回しになって、さらに記録も多くつけることになって、残業になったり夜遅くまで寝ずに仕事していた。

 

あの子達は今、楽しく過ごしているだろうか。

今でも全員覚えている。

笑って過ごせているだろうか。

幸せになってほしい。

彼らのお父さん、お母さんも含めて、みんなで幸せでいてほしいと思う。