のんです
宅飲み写真で失礼します
前回の
思った以上の反響をいただき
ありがとうございます
***
私は常に自信がなかった
夫が「不幸」であることで
最も利益を享受していたのは
他でもない私だった
若くて
ルックスが良くて
堂々としていて
お金持ちで
仕事ができて
洞察力が優れている
そんな男性が
6歳も年上で
特別美人でもなくて
気も利かないダメな私を
見染めてくれるなんて
何かがおかしい
何か分かりやすい理由を
誰もが納得する理由を
誰もそんなこと言っていないのに
勝手に私は
不幸を手放すのを怖がっていた
夫が不幸だから
私のことが優しく見えるのだ
夫が不幸だから
私しかいないと錯覚しているのだ
不幸を手放したら
メッキが剥がれて
魔法が解けてしまうかもしれない
夫は自分に
もっとふさわしい相手がいることに
気づいてしまうかもしれない
でも私こそ
本当に夫のことを
愛しているんだろうか
夫がアダルトチルドレンだとか
愛情に飢えているだとか
共依存だとか
その言葉を聞いてどこか
安心している自分が
いなかっただろうか
そんな歪んだくさびが無くても
愛される自分を信じるために
私は結婚したんじゃなかったのか
だから私は
バンジーを飛んだ
夫の不幸を否定したのだ
それがどうしたぁぁぁ!!!
私の反論にショックを受けた夫とは
そのまま口論に発展し
それは午前3時まで続いた
その過程で気づいた
不幸を利用していたのは
私だけではなかった
夫は夫で
私の気を引くために
私が離れていかないことを
確かめるために
不幸を利用していたんだと
なんだか
笑えてきてしまった
そっか
私たち結局似た者同士だ
そこに気づいた矢先に
夫が不意に言った
別れよう
のんを幸せにできる男が
他にいるかもしれない
・・・!?
私は慌てた
別れたくないよ!
私は夫といて幸せだもん
私はこれからももっと
夫と幸せになりたいんだよ
私が一緒にいて幸せなのは
夫だけだよ!!
のんのばーか
・・・
はぁ!!?
夫は笑った
すごく嬉しそうに
いたずらっぽい笑みを浮かべて
別れるって言って
焦るのんを見たかっただけだもん
俺がのんを解放してやるわけないだろ
俺は
のんよりも
ずっとずっと
のんのことが好きで
幸せなんだからさ
***
挙式は両親が言ったとおり
意外なほどに
とてもいいものになった
渦中の外にいた
初めて会う夫の親戚は
夫に良い人が見つかって
本当に良かったと号泣した
事情を知る私の友人たちも
号泣だった
ゲストは皆
アットホームで素敵な式だったと
口々に声をかけてくれた
挙式後
夫が私に言った
結婚式ってさ
二人が一緒になるお披露目って
だけじゃないんだな
家族がいて
親戚がいて
友達がいて
これだけの人たちに
のんは愛されてきたんだなって
そう思ったら
責任持って
のんと新しい家族を
守らないといけないって痛感した
その発言を聞いて改めて
私は夫と結婚して良かったと
思った
そして夫の感性のベースになった
夫の家族にもやっぱり
感謝しか無かったのだ
挙式後
あれだけ荒れまくっていた事態は
ビックリするほど
収まるように収まり
結婚して7年経った今も
何だかんだで夫の両親は
それぞれ良くしてくれている
それは理想の
家族の形でないかもしれない
一般的な愛の形では
ないかもしれない
それでも私たち夫婦は幸せで
とても仲良く過ごしている
夫の両親が離婚していなければ
もしかしたら
私たちは結婚していなかったかもしれない
夫の不幸が無かったら
私は見染められていなかったかもしれない
何が良いかなんて言えない
何が悪いかなんてもっと言えない
幸せを信じれば
何があってもチャンスになるし
不幸を利用しようと思えば
災難はどんどん降り掛かってくる
すべては自分の望む通り
きっと
それだけの話なのだ