台風24号により被災されましたすべての皆様にお見舞いを申し上げます。
ルーブル美術館で目に留まったフランス絵画を年代順に紹介させていただきます。
シュリー翼の932室に入ると、1人の画家の絵だけが展示してありました。
18世紀後半に活躍したジャン=パティスト・グールズでした。
美術出版社の『西洋美術史』には、「ロココ絵画の形式と内用に抗して、水平線と垂直線を
強調した古典主義的様式で古代ローマ史の主題を描く試みを行い、それあフランス革命
直前の時代に、ジャック=ルイ・ダヴィッドに継承されることになる」と解説してありました。
1枚目 グルーズ 「壊れた甕」
解説パネルの内容です。
乱れたドレスによって半分暴かれた胸の悲しく見える少女は、少女の腕の壊れた甕によって
象徴されている、失われた処女性の寓話です。
少女の後ろの噴水は、芸術家の1760年代からの古代の新たな関心を映し出しています。
グルーズ 「乳しぼりの女」
グルーズ 「父親の呪い 恩知らずの息子」
画題は、当時のフランスで社会問題化していた新兵の募集です。
新兵に募集することで身売りしようとする放蕩息子、引き戻そうとする母親、止めようと妻と子供、
息子に近づこうとして娘のひとりに押しとどめられている父親、右端には息子を兵士として買い
とるために来ている男が描かれています。
グルーズ 「父親の呪い 罰せられた息子」
父親の臨終で帰宅した、新兵募集に身売りした息子が、悔い、うなだれ、嘆く様子、そして、息子を
温かく迎える母親の様子が描かれています。
ルーブル美術館の解説では、「新約聖書 ルカ 15:11-32」の放蕩息子の教訓を伝えるために、
ペーソスを加えてこの2作を描いたようです。
グルーズ 「自画像」
ルーブル美術館のHPでは「This work is not currently on display in the museum.」(非展示)と
なっています。
http://cartelen.louvre.fr/cartelen/visite?srv=car_not_frame&idNotice=11109&langue=en
この自画像を見たのは今年の3月3日でした。
こんな幸運もあるのですね。