大晦日に掃除したセミアコ君を爪弾いていたところ、体感として弦高(※)が少し高いように感じた。それも妙な具合に。1フレットと12フレットの高さは問題なし。5フレット~9フレットぐらいの真ん中辺りが高く、押さえるとブカブカ感があったので対処することにしました。

※弦と指板の間の高さのこと。高すぎると押さえにくい。低すぎると弦の張力が落ちて、輪ゴムを弾いたときのような張りのない音になったり、ビビリ音が発生する。

 

【調査】

疑わしきはネックの反り。目視でも順反りしているように見える。太い弦を緩めずに長期保管していたりすると、弦が引っ張る方向へと木が曲がってしまうことがあります。

 

 

順反りをわかりやすいよう描いてみました。ちなみに逆向きに曲がっている場合は逆反りといいます。

 

 

 

セミアコ君はというと、ペグ2~3巻きほど弦を緩め、乾燥剤の入ったハードケースにて保管していましたが、日本の四季はギターにとって過酷です。夏場と冬場の湿度差によるものでしょう。木もその度に水分を含んだり放出したりを繰り返しています。

 

順反りかどうかを確認するため、6弦の1フレットと12フレットを両手の人差し指で押さえ、隙間がどの程度空いているかチェックしてみました。紙一枚分ぐらいならOKのところですが、いやいや、結構隙間が空いていました。よって順反りと判断を下しました。

 

 

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【対処】

何をするのかというとトラスロッド調整です。ギターやベースのネックの中にはトラスロッドという長い金属棒が埋め込まれています。このトラスロッドをネックが反っている方向と逆向きに反らせることで正常な状態に戻します。

 

トラスロッドレンチです。ただの六角レンチなので、バイクの整備やカスタムを自分でやっている人なら持っているかもしれませんね。写真はモーリスのフォークギター用のものです。セミアコ君のハードケース内にトラスロッドレンチが見当たらないので、これで代用することにしました。

 

 

調整場所はここになります。

弦を緩めて脇にやり、プラスドライバーでトラスロッドカバーを外します。スーパーカブの整備をしていてネジをなめてしまうことがあるので(特にウインカーレンズのネジ)慎重に回します。

 

 

 

外しました。うーん、プラスチック製でチープですね。板金屋さんに頼んで、ゴールドかシルバーの金属製にしたいものです。

 

 

カバーを外したら、あらまあ、クラックがあり、塗装も割れ、無残な状態です。このギター安いからなあ。

 

 

青丸が調整場所です。ここにレンチを差し込みます…が、モーリスのレンチがサイズ違いで入らない。太さ5mmで規格は変わらない筈なんですが…。

 

 

スーパーカブの工具箱を漁ったところ、マウンテンバイク整備用の多目的ツールが出てきました。これを使おう。

昔、マウンテンバイクで都心まで通勤していたことがありました。若かったのもあり、ひと月で7~8kg体重が落ちて、シャープな体になりました。やってみて危険が多いことがわかったので、2~3か月程でやめましたがね。

 

 

トライしてみて、レンチの太さは合うようですが、ギターの糸巻とツールが干渉してレンチが真っ直ぐ入りません。ネジ穴をなめる可能性があるので諦めました。

 

 

前回の島村楽器の記事で触れたように、ダイソーで六角レンチセットを買ってきました。いくつか種類がありましたが、5mm近辺のレンチが多いこちらをチョイス。

リングでまとめられているのでガシャガシャして嫌でしたが、5mmのものが合いました。とすると、モーリスのレンチの太さは何mmなのだろう?5.1mmとか5.2mmぐらい?

 

 

差し込んで時計回りに回せば順反りを矯正できます。逆反りの矯正なら反時計回りに回します。回す量は反り方にもよりますが、30~45度ぐらい。バイクのスパークプラグや各種ボルト類と同様、ギチギチに締め上げたりはしません。

私も今回は回しすぎて弾いてみるとペナペナな音。ネックを逆反りさせてしまったことに気づき、再調整をしました。

 

 

後はトラスロッドカバーを付け直し、弦を巻き直して元に戻すだけ。下の【AFTER】【BEFORE】の違いは…写真ではよくわかりませんね(苦笑)。

 

 

【AFTER】

 

【BEFORE】

 

 

【結果】

弾いた感じはよくなりましたよ。元に戻りました。少し弦高が高めが好みのセッティングです。最近はプレイアビリティーを優先して低い弦高にセットするのがスタンダードのようですが、弦高が高いほうが弦を弾いた打感が気持ちいいんです。アンプを通せば~とか、音作りならいかようにもできるという考えもわかりますが、アコースティックギター寄りの人間なんですね(笑)。

 

このセミアコ君はPLAYTECHのSA500という安いギターなんですが、いやいやどうして、悪くないです。バーニーやトニー・スミスなどの廉価物より良いし、エピフォンのES-335といい勝負できるのではないかしら。値段から考えると大健闘、いや、それ以上で、昔はこんなセミアコはなかった。音を拾うピックアップがおそらくパワー不足で線が細いので、ディマジオやセイモア・ダンカン、バルトリーニなどのものに交換したいかな。あと、ナットがプラスチック製でいつのまにやら欠けている場所があるので、牛骨に交換したい。

 

見た目は濃い目のチェリー(さくらんぼ色)+ゴールドで、高島屋かどこかのデパートガールさんみたいです。配色で高級そうに見え、安さを上手に隠せています。安いなら安いで味が出るので、別に隠すことないんですがね(デパートガールさんが安さを隠しているといっている訳ではないので念のため)。

 

 

…。

私はデパートガールさんを膝の上に乗せて抱きしめてていいんでしょうかね(赤面)。与太話はさておき、弦高調整のついでに実際に音を出して試演奏をアップしてみたいですね。が、長くなった。また今度にします。