永楽帝~大明天下の輝き~ #29 残された謎 あらすじ

 

 

 

太子が西安、太原たいげん北平ほくへいという長幼順で丸を書いたと聞いた妙雲みょううんは「そうなのね」とつぶやいた。

 

妙雲は、太子の死を受け入れられない朱棣しゅていを励まし、姚広孝ようこうこうからの”冷静に対処せよ”という伝言を伝えた。

 

街ではしん王、しん王、えん王の誰かが暗殺したのではないかという噂に続いて、太子は皇位の兄弟承継を臨んだのではないかという噂が囁かれていた。

朱棣しゅてい錦衣衛きんいえいに命じ、噂を流した者を捕縛した。

 

皇帝はしんしんえんの3王を呼び出し、誰が捕縛をしたのか問いただした。

朱棣しゅていは名乗り出て、皇帝が訓戒で長子承継を定めているのに兄弟承継説を放置すれば皇家の離間に繋がる恐れがあるため捕らえたのだと話した。

そして太子の描いた丸は、”3人で陛下を共に補佐し明を守れ”という意味だろうと話した。

 

皇帝は朱棣しゅていを都に残し、しん王としん王を帰藩させた。

 

烏蘭図雅ウラントゥヤ伯雅倫海別パヤルンハイベに密書を届けた。

密書には伯顔帖木児パヤンテムル卓里克図汗ジョリクトハンの旗下に入ったと書かれていた。

ここ数年で大汗ダハンは幾度も代わっていた。

烏蘭図雅ウラントゥヤ錦衣衛きんいえい譚淵たんえんらが尾行していた。

 

りょ氏は斎泰せいたいらに”策を講じて皇長孫を助けよ”という密書を送った。

長子承継の訓戒はあるが、皇帝は朱棣しゅていを都に留めており、允炆いんぶんが皇位を継げるかは皇帝の気持ち次第だった。

自分達の上奏では重みが足りないと考えた斎泰せいたいらは、藍玉らんぎょくを味方に引き入れ上奏させた。

 

皇帝はすぐに藍玉らんぎょくが誰かに頼まれたのだと気付き、その者の名を尋ねた。

藍玉らんぎょく斎泰せいたいだと答え、自分の大甥である允熥いんとうよりも允炆いんぶんが優れていると話した。

 

姚広孝ようこうこう藍玉らんぎょくを引き入れた斎泰せいたいらの手腕に舌を巻いた。

藍玉らんぎょく允熥いんとうの大叔父だが允炆いんぶんに味方している。

藍玉らんぎょくの政敵が允炆いんぶんを推薦しても私怨を疑われることは無い。

姚広孝ようこうこう朱棣しゅていに待つよう話した。

 

妙雲みょううんに命じられ伯雅倫海別パヤルンハイベを偵察していた譚淵たんえんは、探馬軍司たんばぐんし伯雅倫海別パヤルンハイベが連絡を取り合っていたことを報告した。

しかし譚淵たんえんは皇帝にも朱棣しゅていにも報告しなかった。

暗殺説が囁かれる中 報告すれば、伯雅倫海別パヤルンハイベと最も近い秦王が咎められ、錦衣衛きんいえいも責任を問われるかもしれない上、皇帝の怒りに乗じて悪人が騒ぎ出すかもしれない。

話を聞いた妙雲みょううんは、譚淵たんえんに感謝し誰にも知られないよう命じた。

 

朝廷には允炆いんぶんを推薦する奏状が次々届いていた。

 

皇帝は10年前に亡くなった妻(孝慈高こうじこう皇后)の位牌に、孫と息子かで迷う心を打ち明けた。

 

鉄鉉てつげん朱棣しゅていに、允炆いんぶんを推すよう頼みに行った。

太子に兄弟承継の意思はなかったと言ったが、兄弟承継を自分は否定しないと朱棣しゅていが言うと、鉄鉉てつげんは崩れ落ちた。

 

鉄鉉てつげんが帰宅すると夏原吉かげんきつが待っていた。

夏原吉かげんきつ朱棣しゅていを推す奏状に連署してもらうため鉄鉉てつげんを訪ねたのだが、鉄鉉てつげんにはその気はなかった。

 

鉄鉉てつげんは、なぜ朱棣しゅていではないのか その理由を語った。

朱棣しゅていは皇帝に酷似する傑物だ。

しかし開国の君には武が、後継の君には文が求められる。

唐の太宗でさえ諡号は”太宗文武大聖大広孝皇帝”と、武より文が先に来ている。

6度に及ぶ北伐で財政は火の車。

朱棣しゅていが皇帝になれば第二の朱元璋となる。

明から第2の馬上の天子を出してはならないのだ、と。

 

すると夏原吉かげんきつは、太宗がいかにして皇位に就いたか尋ねて…?

 

 

 

感想

 

暗殺説に続き、兄弟承継説が噂され始めました。

皇帝は66歳。

皇后を失ってから10年が経過し、朱棣しゅてい錦衣衛きんいえいに復帰して2年が経過したと作中で語られました。

20話から10年が、26話から2年が経過しているようです。

 

前回、皇帝はあえて3親王の親衛を戻し太子暗殺との関わりを見ようとしました。

しかし朱棣しゅていは、太子を失った悲しみで閉じこもっておりました。

恐らく他の2人も特に何も行動を起こさなかった。

そうこうするうちに兄弟承継説が囁かれ始めた、ということだろうと思われます。

 

妙雲に励まされ立ち直った朱棣しゅていは、兄弟承継説を放置しておくわけには行かないと思い錦衣衛きんいえいを動員して噂した者を捕縛しました。

皇家の離間に繋がると皇帝には説明しました。

 

皇帝は長子承継を訓戒にしているのに、兄弟承継説など流されて、帝位を狙い自ら噂を流したのではないかなどと思われてしまうと困りますから、良い選択だと思いました。

 

一体だれが兄弟承継説など流したのか。

一体どうして太子が〇をつけた順番まで民間に知られることになったのか。

誰よ、そんなに詳しい噂流したの!?

 

あの場にいたのは、皇帝、太子としんしんえんの3王とりょ氏でした。

もしかしてしん王あたりが、帝位を狙って兄弟承継説を流した?

それともりょ氏が、皇帝に兄弟を処罰させるために流した?

いろいろと勘繰ってしまいました。

 

長子承継説派の黄湜こうしょく斎泰せいたい練子寧れんしねいは行動を起こしはじめました。

暗殺説では黙っていたのに兄弟承継説が囁かれ始めて行動を開始すると、皇帝に勘繰られ允炆いんぶんが不利な立場に置かれるかもしれないとかいろいろ考えた末、彼らは藍玉らんぎょくを担ぎ上げました。

允熥いんとうの大叔父である藍玉らんぎょく允炆いんぶんを推したことで、長子承継派が優勢に立ちました。

 

言づてを指示されていたのに密書を送ったりょ氏。

このあたりに長子承継派の隙があるか!?

 

伯雅倫海別パヤルンハイベ探馬軍司たんばぐんしの関係が譚淵たんえんの調査で妙雲みょううんに知られてしまいました。

 

譚淵たんえんによれば、23話でしん王妃が捕らえられたのは藍玉らんぎょくしん王妃が南の探馬軍司たんばぐんしの長だと告発したため。

錦衣衛きんいえいは調査を命じられたけれど、譚淵たんえんは報告しませんでした。

藍玉らんぎょくの真の狙いはしん王妃ではなく調査の責任を担っていた朱棣しゅていだと察したから。

 

以前錦衣衛きんいえいの中に胡惟庸こいようのスパイがいると発覚した時(16話)、私はスパイは譚淵たんえんだろうと予想していましたが、どうやら譚淵たんえんはいい子らしいと今回分かりました。

譚淵たんえんさん、今まで悪い奴だと思っていてごめんなさい。

 

今は時勢が悪いということで、しばらく妙雲みょううん伯雅倫海別パヤルンハイベのことを泳がせてくれるようです。

でも知られてしまった。

伯雅倫海別パヤルンハイベが心配でたまりません。

 

允炆いんぶんを皇太孫に、という奏状が集まっているけれど皇帝は亡き妻に相談に行きました。

あれを見て、皇帝は朱棣しゅていを皇太子にしたいのだろうと思いました。

自分で作った訓戒通り允炆いんぶんを次の皇帝に、と考えているならあそこまで悩まないはず。

朱棣しゅていが主役のドラマですし、そりゃそうか。

 

長子承継派の鉄鉉てつげんは、朱棣しゅていに奏状への署名をもらうため訪ねて行きました。

朱棣しゅてい允炆いんぶんを推す署名をもらえればかなり強いですもんね。

けれど朱棣しゅていは署名せず、自分が跡継ぎになるという野心を隠しませんでした。

 

夏原吉かげんきつ朱棣しゅていと親しい鉄鉉てつげんは兄弟承継派だろうと思い、自分の奏状に署名をもらいに訪ねてきましたが、鉄鉉てつげんは長子承継派でした。

2人は唐の太宗を例に出し、議論をしました。

 

中国は易姓革命がある国なので、前王朝の最後の皇帝は史書に悪く書かれ、新王朝の最初の皇帝は英雄として書かれるそうです。

その中でも唐の太宗は中国一の賢帝と言われていると、以前本で読みました。

(太宗自体は唐の2代目の皇帝ですが、唐の建国に深くかかわっています。)

 

太宗がいかにして皇位に就いたか?

という件について、太宗は兄である李建成を玄武門の変で倒して皇帝になったそうです。

 

このドラマを私のような歴史無知勢が見ているとは考えにくいのですが、もしも万が一、ほとんど中国の歴史を知らないという方で、唐の太宗(色々なドラマで引用されまくる)について知りたいという方は、「長歌行」というドラマをおすすめいたします。

 

「長歌行」を見ても唐初期の歴史に詳しくはなれませんが、確実に好きになれて歴史上の人物の名前を覚えられると思います。

好きになれば詳しくなるのもすぐだと思うので、もしも歴史を学びたいという方は、回り道ですが長歌行を見てください。

今はまだ日本語で見られる手段がありませんが、2023年の5月くらいから順次みられるようになるっぽいので、ぜひ!

 

 

 

↑長歌行、1話だけはアマゾンで見られます。