
心の優しい少女の涙の宝石は、心が優しくなった村人たちの親切で、食物や洋服などに換えられて戻ってくるようになりました。
そんなある日、サムが少女に言いました。
「ねぇ、僕が一生懸命に考えたことを聞いて!君が言ってたことだよ。神様が君の涙を宝石に変えて村を救ったけど、それだけじゃなかったぞ。神様は君をも助けたってことだよ」
「そのとおりね。そして、わたしは村の皆が私のことを気にかけて、心からの親切を表してくれたおかげだわ」
少女は、にっこりとサムへほほえみました。サム少年は少女のことで毎日がうれしくってたまりません。
そんなサム少年は、宝石をにぎって店へ行ったり来たりして手伝いました。
でも、手の中の宝石を見つめては『きれいだなあ~!』
と、ちょっと考えようものなら足が止まります。
でも、考えないで三歩あるくと
『何に交換(こうかん)してくるんだっけ?』
と、忘れてしまいます。
そのたびに、少女のところへ戻ってもう一度たしかめます。
そして、忘れないうちに急いで「ビュンビュー!」走り出して、考えないようにして、また、止まることもせずに、お店へかけ込むのでした。
でも、そんな親切なサム少年を少女は大好きでした。

奇跡の秋が終わりました。
少女の優しい与える行いで貧しさから抜け出して豊かになった村人の全員が、冬支度ができました。
この年の初めての冬越しは、暖かくすごせるので安心です。
人々には笑顔があります。少女には、なによりもうれしい皆の笑顔です。少女は、一人でもさみしくはなく、むしろ、幸せです。
初雪が「チラチラ・チラチラ」と舞い降りる冬になりました。少女の家の屋根にも静かに静かに降っています。少女は、暖かい部屋で小窓の外の砂糖のような雪を見ながら、考えていました。

村中、皆で助け合い仲良しになったことを・・。少女は、嬉しくて胸がいっぱいになりました。
そして、少女のうれしい涙が
「ホロホロコロリン!」
と、あふれ出すと黄金に輝く大粒の純金(じゅんきん)になりました。

(おわり)



「いつも、ありがとうございます♪命に感謝して、今日一日を大切に暮らすように努力中です!Anyway smile♪」
(With gratitude from ゆうゆ)

♪「続・童話の宝石箱 」
♪「自然のささやき 」