
寒いので頭をおおうスカーフが欲しい・・と思いましたが、それさえありませんでした。
そこへ、村一番のわんぱく少年サムが現れ「やーい、ひとりぼっちの孤児、やーい」と、いつも通りに少女をからかいました。
サムは村長さんの孫でした。少女は、知らんふりして通り過ぎましたが・・サム少年は、少女をふりかえって眺め、少女の姿がどこかおかしいと、感じました。
何が変なのかわからず、サムは宝石の恵みで新しくなった自分の家へ戻りながら、考えました。

そして
「そうだ! わかったぞ! 着ている服が、夏のままなんだ~!」
と、ようやく気がつきます。
「あの子はまだ貧乏なんだ。あの子の所には、宝石の恵みが舞い込まなかったんだなあ!」
サム少年は、家の中から集めたパンとミルクを袋一杯にして抱え、少女の家のドアの前にそっと置きました。

その時・・「シクシク、シクシク」
と、静かに少女の泣く声が聞こえました。
サムはそっと小窓の方に廻って中をのぞきましたが、驚きのあまり、口が、ぽかーん!と開きました。
何と、少女の流す涙が次々と「ホロホロ・コロリン!」
と、輝く緑のエメラルドとなって、床の上に落ちていくではありませんか。

サムは口を、「ぽかーん!」と開けたまま、ドアの前に戻り恐る恐るノックしました。
しばらくして、少女が出て来ましたが、その目に、もう涙はありません。
サムは慌てて「ぽかーん!」の口を閉じてから言いました。
「う~ん、僕は見たぞ! 君の秘密を・・うん、見たんだ。けれど・・うん、でもそれはいいんだ。それよりなぜ君が貧乏なんだい?」
少女は、優しく微笑みながら言いました。
「この宝石は、私が使おうとすると涙に戻っちゃうの。だから自分では使えないのよ。でも私には家族はいないから、それでいいの。村の皆が幸せになってくれて平和なら嬉しいわ。神様が村の人々を救うために、わたしの涙をお使いになって奇跡を起こさせたの、多分・・。だから、これでいいの。おいしいもの沢山ありがとう。助かりました。おやすみなさい」
サムがあげた食べ物の袋を抱えて少女はドアを閉じました。
少年は『ん~何かがおかしいなあ?』
と、思いながら帰り始めました。

でも、何がおかしいのか、わかりませんでした。
(二話へ続く)

「いつも、ありがとうございます♪命に感謝して、今日一日を大切に暮らすように努力中です!Anyway smile♪」
(With gratitude from ゆうゆ)

♪「続・童話の宝石箱 」
♪「自然のささやき 」
♪「童話の宝石箱 」