
その後、男は60歳になって無事に還暦を迎えた。
その頃には、生きている毎日に感謝するようになっていたし、会う人々皆に優しさを示していた。
笑顔の日が多くなった。
自分の身に嫌なことが起きても『俺は不幸だ』とは思わなくなっていた。
何か不満があっても「あいつのせい」にしなくなっていた。
何事も、自分にも責任があると道理をわきまえて考えられるようになった。
だから、少しの問題で大騒ぎをしなくなった。
むしろ・・・
『自分は恵まれている環境にいるんだ。感謝に絶えないんだ。生きていて良かった! 自分はなんと幸福者なんだろう!』
とさえ思うようになっていた。

こうして男は五十代半ばから六十代も過ぎた頃になり、初めて『人生』を悟ってきた。
「幸福とは周りから与えられるものではなく、この俺が自分の中で築く『心の平安』から来るものである」と、やっと悟ったのである。
さらに
「幸福とは、俺自身の頭の中の考え方と感情の選択で、築くものなのだ」とも!
そして、
どんなに嫌な奴と思う人間にも『平安を与える』事によってこそ、自分をさらに幸福に出来るのだ!とも分ったのだ。
この男!
かなり遅咲きであったが、馬鹿は治ったのだった!!
そして、この年齢から男の『人間らしい本当の人生』がスタートした。
賢く考え平安を生む努力で・・自らの考え方で築いた幸福感を得て、男は120歳まで生きた。
子孫にも恵まれ、共に老いた妻と花鳥風月の暮らしさえも楽しんだ。
男は、生まれ持った生命力と穏やかな生活のお蔭で『長寿』を記録したのだ。
幸せに満ち足りて天寿を全うしたのだった。

実に、
この男の生涯の半分は『愚かな人生』であったが、残りの半分は『賢い人生』であった。
これが、『馬鹿が治って長寿を記録したある男』の話である」
(4)完

「ご覧くださり有難うございます♪自らの命と全ての善き事に感謝を忘れず~丁寧に暮らすことを努力中です!Anyway smile♪」
(With gratitude from ゆうゆ)
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