
「雪の中の母さん」(3)
毎朝、
空が白むころ、母と子カラスは冷たい野や畑に出かけます。
おとといは、小さな芋を食べたけど、きのうは、エサが何もみつかりませんでした。
ピカリは涙をこぼしながら電線の上で言いました。
「今日もエサがないと、僕たち死んじゃうよー」
でも、母は、言います。
「死にはしないんだよ」
「どうしてさ?」
「それはね、ぼうや!カラスの正しいエサさがしの道をまもった母さんの母さんも、そのまた母さんも、エサがないからということで、死んだりはしなかったからだよ」
「ふうん・・・。」
ピカリは何となく納得(なっとく)しますが、小さな黒いお腹はすっかりへこんでいます。
見上げると、同じ山のカラスたちがにぎやかに街へ街へと向かっています。
「エサもな~い!こ~んなところで遊んでちゃ~死んじまうじゃないカァ~!」
「カァ~ハッハッハー!」
ののしり、笑いながら街へ飛んでいきました。ののしったカラスの黒い羽が一枚だけ、ひらひらと真っ白い地面(じめん)に落ちてきました。
こうして、笑われるのは、毎朝、毎晩のことでした。
子カラスのピカリは、身うごきひとつしない母をみつめて、またまた声を出さずに涙(なみだ)をこぼしました。
涙は、電線の下の冷たく白い野原に『スゥーッ』と落ち、音もなく吸われて消えていきました。
(4)へ続く
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(The above is written by ゆうゆ)