第一章からはテーマ「長編寓話」でね 。
「青い猫と虹の一族」四章~虹の一族との日々(29)
~愛を予言する花~の巻き
ナンシーは部屋に入るや否やジョイをひょいと抱き上げ、赤いゼラニウムの花の隣にある白いクッションへそっと置いた。
「ね、ジョイ。森に入って何をしていたのか教えてね。さあ、実験開始~!」
と、彼女はすこぶる愉快そうに黒目がちの眼でジョイをみつめる。
早速『通訳花』の力量のほどを試すことにしたのだ。
ジョイの予想通りの行動に出た女主人だが、ジョイは戸惑う。
彼の本心は、冷えた体をすぐに温めたいのだ。
短い時間ではあったが懐かしい親友達との友情の確認を楽しんだ。
しかし、冬の夕刻の寒さは彼らの友情には無関心だった。
ジョイは思わず小さな救いを求めて、大げさに頭を上げてサムをみつめた。
しかし、リトル・サムは暖炉の前でくつろぎ始めて雑誌を読んでいる。
ジョイには気が付かない。
ジョイは起きそうにもないナンシー式『通訳花』の奇跡実験には、関わる気がしなかった。
全くの時間の無駄に思えた。
そのため、冷えた体のままで、くだらない時間を過ごすことへの苛立つ感情を克服しなければならない。
彼は、それでもやはり愛のある猫であった。
本物の愛が、敵にさえ及ぶものであることを、前の飼い主からの「愛と勇気のお話」で学んでいた。
だから、敵でもない女主人に、ひと時の自己犠牲を払うのは当然のことだと判断できた。
そうして、彼は・・・仕方がないから!ではなく、飼い主ナンシーへの愛と忠節ゆえに『これぐらいのことならば譲れる!』と決めた。
温まりたいと言う自分の願いを後回しにして、ナンシーの好奇心に付き合うことにする。
『通訳花』の実験開始である。
ナンシーがジョイをうながす。
「さあ~! ジョイ猫ちゃん。何をしていたのかを、花に向かって猫語で語ってね」
ジョイは真剣に、鼻を刺激する薬のような香りを放つゼラニウムの鉢植えに向かって話し出す。
その(30)へ続く (by ゆうゆ)
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