
「青い猫と虹の一族」四章~虹の一族との日々(17)
「二十年近くも君と暮らしていると、僕まで感覚が似てくるのかな?
まだ会ったこともないけど、ピエールの奥さんの方が、怒るなんて変なのでは?と一瞬思ったよ。アッハッハッハ」
と、左手でハンドルを軽く叩きながら愉快に笑う。
「あら、私が普通なのよ。サム」
と、当然とばかりに、ニッコリするナンシーである。
「あ、いや・・・君が異常だとは言ってないさ」
と、サムが慌てる。
そして
「ただ、君には人間の喜怒哀楽の感情のうち怒と哀がすっぽり抜けてどこかへ行ってるようにみえる時があるだろう?
それは、常識、あ!いや社会通念上だけど、人にはあり得ない現象だからね」
「なんだ、そういうことね。人が皆、自己憐憫に陥って苦悩するからと言って、自分もそうならなければならない規則なんてどこにもないんですもの。
何事も自分がどう反応するかは、私の自由ね。
私は『怒り』と『哀しみ』は余り選ばないようにしているだけよ。
あ、でも、損をしている場合もあるのは事実だわね。
出版社のメアリーにアドバイスされたわ。話したでしょ?」
と、ナンシーは急に咳払いをする。
そして、肩までかかる黒髪を揺らしながら、メアリーという友人の話し方を真似て語りだした。
「こうなのよ!『ナンシー!あなたには小説家は無理なの。ん、悲嘆も闘争もない文章だけしか書けないんですもの。
世の中では売れないのよね。ん、残念ながら・・それでは刺激もないし面白くないでしょ?
ん、自分が憎しみも悲しみも落ち込みもない、ときてるものだから・・・仕方ないけど。
ん、作家は諦めた方がいいかもね。あ、趣味として書くだけなら別にいいと思うけど。ん』ってね。
だから、趣味として楽しんで書いてるの。これは明らかに損だわね」
と、笑いながら屈託なく嬉しそうに答える
その(18)へ続く (by ゆうゆ)
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