
「青い猫と虹の一族」四章~虹の一族との日々(12)
その時、突然!ローズが顔を赤らめて立ち上がった。
「決めました!セバスチャン。
ジョイを、来週にでも亡くなった兄さんの屋敷へリトル・サム達に連れて行って貰うわ。
今夜、サムとナンシーへ引越しの準備をするように連絡してくださいな。
屋敷には何でも揃っているから運ぶ物は少なくって良いってね。さあ、忙しくなるわよ」
と、台所へ急ぎ足で向かい始めたのである。
セバスチャンの艶のよい小麦色の顔が輝いた。
リズはジョイへ微笑みながら祝福のウインクを送る。
しかし、ローズはすぐ戻ってきた。
そして喜んでいいものかどうかと迷っているジョイに近づき、頑丈な腕の中へひょいと抱き上げる。
もうその顔には涙はなかった。
「さあ、ジョイ!あなたは、何と愛のある猫なのでしょう。そのあなたの愛があなたを幸運にするのよ。もうすぐ、懐かしい屋敷へ戻れるの。遠慮しないでいいのよ」
と、ローズがふくよかな顔で頬擦りをした。
ジョイは事の逆転劇にただ驚く。
しかし、少しずつ喜びが湧きあがってくる。
金の首輪の名前「ジョイ」がキラッと光り、その名のとおり喜びに満たされる。
もうすぐ、ジョイの願いが・・・誰をも傷つけることもなく、愛と平和のうちに満たされるのである。
しかし、アニーは状況が理解できずにうろたえていた。
リズの方は、床に降ろされたジョイに近づき静かな声で囁く。
「ジョイ、良かったね。私達家族とアニーは淋しくなるけど、祝福してあげる。
そうそう、アニーにはジョイから、ちゃんと説明してね。
アニーは賢いから分ってくれるわよ。
それから、サムおじさん達があの屋敷に慣れるまで時々、私とアニーが通うようになると思うわ。
よろしくね。ラブに会いたいし・・・クスッ!」
リズが意味ありげないたずらっぽい笑いを残して、自分の二階の部屋へ去っていった。
リズの笑いには、後々エピソードが出来るのだが、まるでリズ自身は既に知っていたかのような不思議をかもし出す美しい婦人である。
その(13)へ続く (by ゆうゆ)
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