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2020.2追記. 人格統合で精神的に不安定な状態だった頃に書いた記事です。読みづらかったので大幅に手直しました。

※性的トラウマがある方は、フラッシュバックを起こす可能性があるのでお気をつけください。
 
 
本題の前に、経緯をざっとまとめました。
 
元記事を書いた2017年の時点では、私は43歳です。
 
17歳の時から2年ほど付き合っていた人(以下、元彼とします)から大きなトラウマを受け、対人関係に障害が出るようになりました。
 
重度の人間不信になり、元彼と別れてからもトラウマに振り回され続けました。

解離(かいり)の中に閉じ込められ、ずっともがいていたのです。
 
解離というのは、感情や現実感、感覚や記憶などがなくなったり薄くなったりする症状です。
 
一番ひどかったのは19歳〜20歳くらい。まとめると↓こんな感じです。
 
・人がダメになり、鏡で自分の姿を見るのもキツイ。家族と同じ部屋にいるのも耐えられない。
 
・思考が停止していることが多く、頭の中は静かで無音。苦しさだけがある。
 
・「こんにちは」と声をかけられることすら苦痛。ただの挨拶でさえ信じられないので裏があるように感じる
 
・1秒前に何を言われたのかわからない。人と何を話したのか覚えていないし、記憶できない。
 
・会話中は特に、自分の思考や感情がどこにも見当たらなくなる。自分の感情がないので相手の感情もわからない。
 
・頭の中がまとまらない。すぐ忘れるし何がどうなって今に至るかもぼんやりとしている。
 
・まともに会話ができる状況ではないのに、きちんと会話しようと努力し続ける。
 
自分が精神的におかしいのはわかっていたけど、病院に行って「病気じゃない」といわれることが怖くて行けず、誰にも相談せずに約10年過ごしました。
 
別の記事でも書いていますが、私は内在性解離(解離性同一性障害の一つ前の段階)と複雑性PTSDだったと思われます。離人症もありました。
 
診断されていないのには、以下の要因があります。
 
・診断できる医師が少ない病気である
・人間不信がひどくて医師にも、本当の症状を言えなかった
・精神科へ行くまでに10年かかっているので、自分で何とかできるだろうと思われてしまう
 
カウセリングに通い始めたのは16年前から。
 
症状は長い年月をかけて少しづつ良くなり、離人症は30歳くらいで一応治りました。
 
でも、根本原因(トラウマ)がまだあるので、離人感は強くなったり弱くなったりを繰り返して、そのたびに苦しくなります。
 
離人症が治った時、18歳の頃の記憶や空気感が生々しくよみがえりました。まるで冷凍保存されていたかのようでした。
 
18歳の自分が30歳くらいの自分と同居しているような感じがしばらく続き、18歳の人格が統合。
 
「五感」が戻ってきたような感覚があり、それまで風や雰囲気、音など、自分の感覚の一部が遮断されていたことに気づきました。
 
しかし、無理に離人症を治したため、胸が苦しく心が不安定になる症状が出るようになり、パキシルとワイパックスを服用することになります。(数年後、薬剤にアレルギーを起こしたので断薬。)
 
娘が不登校になり、2015年1月からコンプリメントトレーニングを開始、トレーニング前に比べると症状が良くなり精神が安定してきてはいましたが、解離は続いていました。
 
 
↓ここから本文です。
 
大きな転機がありました。私のトラウマの原因である、元彼の近況(トラブル)を人づてに聞きました。
 
私が重度の人間不信になったのは、自分に見る目がなかったと絶望し、また人に騙されるのではないかと怖くなったからです。
 
頭では同じことはもう起きないし、起きたとしても今の私なら大丈夫だと思っています。でもトラウマは理屈でどうにかなるものではありません。
 
「大人の私」が元彼のトラブルを知ったので 、「若い頃の私」では見抜けなかったことが、見抜けるようになったということです。
 
当時は完璧に嘘がつけるし、演技もできると思っていた元彼が、今の私から見ると完璧ではなかった…このことに気づいてから、感情や現実感を感じやすくなりました。
 
最も大きな変化は、「19歳の私」と「43歳の私」が人格統合したことです。これによって「19歳」が持っていた恋愛期間の記憶が、私の頭の中で一気に再生され始めました。
 
19歳と43歳が同居しているような感覚なので、しばらくは精神的に不安定に…。
 
昨日まで元彼の呼び方すら忘れていたのに…元彼への強い恋愛感情が唐突に湧き上がってきて混乱しました。
 
 
昔の記憶を思い出す中で、意外と自分の中で傷になっていたと気づいたのは、トラウマの原因となっていた元彼にレイプされたことです。
 
 
 
その当時、私は17歳でした。彼と付き合い始めてから1ヶ月くらいの頃だと思います。
 
彼は私が処女だった事にこだわっていました。私が年齢を詐称して友達と一緒に飲み屋さんでバイトを始めたのもあり、彼は「誰かに桜を取れられるかも」と焦ってレイプしたのだと思います。
 
レイプされる前は、彼とはキスまでで、胸も殆んど触らせてはいませんでした。彼に押し倒されたことも何度かあったけど、私が嫌だと言うとすぐに身体を離していました。
 
私は押し倒されてベッドに腕を押しつけられました。彼が私の腰辺りに乗ってきたので、嫌だと言いましたが、彼は怖い表情をしていました。(睨んではいません)
 
抑えつけられた腕を動かそうとしても全く動かないので、「男の人ってこんなに力が強いの?」と思い、身がすくみました。
 
私の両腕は頭の上で一つにまとめられ、彼の片手で体重をかけて抑え込まれました。足は足で抑え込まれているので、動こうとしても全く動けません。
 
 
途中で彼と目が合いましたが、私は自分に起きていることが認識できずに混乱していたので、どうしたら良いのかわからずに目をそらしました。
(混乱していたのは信頼を裏切られ、思考が停止していたから)
 
もう一度「やめて」と言ってみますが、喉が圧迫されているように感じて声が出づらかったです。
 
このあたりからは「怖い」という感情が強くなります。ぎゅっと目をつぶったままで耐えていました。
 
彼の指が入ってきましたが、動きがはっきりわかるし気持ち悪いと思いました。
 
彼は私が処女か確かめるためなのか、中を触って確認していた様子でしたが、首をかしげていたので真偽はわからなかったようです。
 
私は内心、「もしかしたら、途中でやめてくれるんじゃないか。最後まではしないんじゃないか?」という期待も持っていたので、しばらく経って指が抜けた時は、ほっとしました。
 
ほっとしたのもつかの間、いきなり彼が入ってきました。とにかく痛くて、痛いということしか考えられません。呼吸をするのが精一杯という痛さです。
 
痛みにじっと耐えていると、彼が「笑って?……これじゃ、レイプだ。」と言いました。
 
目を開けてみると、彼は(桜が痛そうだな)というような、同情的な表情をしていました。
 
私は(え?何言ってるの?レイプのつもりだったんじゃないの?)と思いましたが、とにかく痛いし、笑顔を作れるような状況でもないので「無理」と返すのが精一杯でした。それに、言い返すのも怖かったです。
 
レイプが終わってから、彼は後悔してたと思います。
私は、「ショックだけど彼のことは好きだし、この事態をどう受け止めたらよいかわからない」という感じでした。
 
翌日もそのまま一緒にいたので、私の腕にあった内出血の跡(抑え込まれた時にできた)を見つけた時も、口には出さなかったけど自分を責めていました。
 

どこまで許せるかは人によって違うますが、抑えつけるのは私としては微妙なラインでした。仮に暴力や脅しなどがあった場合は許容できないので、すぐに別れを選択していました。 

 
彼と別れるか悩んだ末…本当に好きな人だったし、私にも無防備なところがあり、彼の気持ちがわからなくもなかったので…泣いたり怒ったり責めたりすることはできなくて、そのまま付き合い続けることに決めました。
 
(この選択にびっくりしますよね?なぜそう決めたのかは、トラウマ解放。完治。①←この記事の真ん中あたりにある、緑色の囲みの中に書いています。)
 
「混淆街(フォトモンタージュ)」の写真
私は彼とお付き合いを続けながら、友達と夜の街に遊びにいき、浮気を繰り返すようになりました。
 
当時はなぜそんなことをするのか自分でもわかりませんでした。
 
浮気相手は、その日に初めて会った行きずりの人。セックスには嫌悪感も気持ちよさもありませんでした。
 
彼は交友関係が広かったので、私の浮気は少なくとも4回はバレてました。(疑われたのではなく、知ってた
 
元彼は普段から感情的になることはあまりなく、よく考えて話す人でした。
 
彼に浮気のことを言われはしましたが、怒られたり感情的に責められたりはしませんでした。
 
レイプの件があったから、私を責めなかったかもしれないし、私よりも7歳年上だったので、大人だったからかもしれません。
 
今考えてみると「セックスなんて大したことじゃないんだ」と確かめたかったから浮気したのだと思います。私の浮気は性的逸脱行為でした。
 
 
たとえ相手が好きな人であっても、その後その人との関係を続けてもレイプはレイプです。
 
今はそう思いますが、当時は元彼と別れなかったことで、レイプを「同意の上での行為」にしてしまったような気がしていました。
 
 
私は自分を大事にできない感覚をずっと持っていました。
 
例え初対面の相手でも、男の人に迫られると無力感がでてくるので「どうでもいいや」と投げやりになって体を預けてしまうのです。 
 
浮気した相手に乱暴な人はほとんどおらず、普通に誘われただけでしたが、
わざわざ抵抗するリスクを侵すよりも、受け入れて終わるのを待っていたほうが安全かなという思いもありました。
 
元彼をあそこまで好きだったのに、他の人とセックスするというのは、女として嫌悪感があるのが普通なのではと思います。
 
 
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彼とは2年くらいお付き合いしていましたが、私はセックスであまり感じたことがありませんでした。
 
この件は彼も悩んでいたようです。 
 
「(あまり感じないのは)初体験の時に痛かった記憶が残ってるからなんだって。病院にいって話を聞いてみる?」と彼に聞かれたことがあります。
 
色々と試してもダメだったので、知り合いのお医者さんに相談して催眠療法が使えないかと考えたようです。
 
その時は全然ピンと来なかったし、記憶を消すとか怖いと思ったのでお断りしました。彼からは「うん。そうだよね。」という返事が返ってきました。
 
 
私の中に保存されていた元彼の記憶は、DVDを再生するような感じで出てきます。感覚や雰囲気つきです。
 
19歳がもっていた鮮度の高い記憶を、43歳が見ているということです。(23年間、記憶を冷凍保存していたのと同じ)
 
私は車の中で待っていたので、彼が建物から出てきたときの表情や、私に話しているときの表情や仕草を見る限り、痛みといってごまかしてはいますが、恐らくトラウマの話を病院でされたんじゃないかと思います。
 
私がレイプや感じないことについてどう捉えているか彼にはわからないはずなので…それらに気を使ったか、自分の罪をハッキリと口に出せなかったかだと思います。
 
 
実はレイプの翌日に、今度は同意の上でもう一度しています。彼に聞かれたので、私が「いいよ」と答えたのです。
 
あれだけ痛かったし、怖い思いをしたら普通は拒むでしょうが、私は既に解離していたのでぼんやりしていました。
 
 
 
付き合って1年半以上してからだと記憶してますが「桜は俺の大事なお人形さんだから」と彼に言われたことがあります。
 
思考の麻痺や解離は徐々に進行していき、自分の意思や考えはだんだんと薄くなり…彼の言うように、私は人形のようになっていきました。
 
でも、だからといって元彼に好き放題にされていたわけではなく、彼は私の意思を確認し、尊重してくれていました。レイプと嘘以外では嫌なことはされていません。
 
付き合って一年半が過ぎるまで、知らなかったのですが、彼はヤクザでした。(入れ墨はなかったです)
 
私は男性の大きめな声とか荒っぽい言葉遣いが苦手なので、彼はそれもわかっていてあまり出さないようにしてくれていました。
 
まだ付き合って間もない頃に「そういうの怖いでしょ?」と聞かれたことがあります。
 
 
元彼との会話で、たまにヤクザ世界の話題がでると、表情が引き締まって言葉使いが変わり、声も低くなっていました。
 
私はヤクザが何をして生計をたてているかということや、彼が普段 何をしているかもあまり考えておらず、自分の目の前にいる優しい彼しか見ていませんでした。
 
 
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なぜ彼と別れたのかというと、私の友達から「桜は、だまされている!別れたほうが良い」と、一晩中2人がかりで、説得されたからです。彼の嘘に悩んでいた私に、この説得は効きました。
 
彼との別れはあっさりしたものでした。
私が電話で「別れよう?」と言うと「…わかった。(部屋の)鍵をポストに返しておいて。」と優しい声が返ってきました。それが彼との最後の会話です。
 
彼と別れた私は一人で立っているのもやっとの思いで、自分で自分を支えられなくてフラフラでした。
 
人生であれほど泣いたことは他にありません。
 
友達には「生きているけど死んでいるみたいだ」と言われました。
 
 
本当に彼に騙されていたのかいないのか、わからないままに長い間過ごしてきました。
 
彼は私と初対面の時から、2つの嘘をずっとつき続けていました。
 
 
◆最初の嘘
他の日付は忘れましたが、最初に大きな嘘が発覚した日付だけは今も覚えています。1991年の12月12日です。
 
彼の名字とは違う宛名で届いたハガキを見つけたので、不思議に思って眺めていると、神妙な面持ちの彼が免許証を取り出し「実は…桜の知ってる名前は偽名で、年齢も22歳じゃなくて24歳なんだ」と打ち明けられました。
 
その時点で付き合って5ヶ月経過していますから、私は「なんで今まで言わなかったの?」と聞きました
 
彼からは「言ったら嫌われると思って…」と返ってきました。
 
続けて、偽名は4つあると教えてくれました。本名は全国的に見てとても珍しい名字です。
 
彼にとっては偽名を使うなんて大したことではなかったのだと思います。
 
 
よく思い返してみると、付き合い始めの頃に彼のことをなんと呼ぶか迷っていたときに「今まではなんて呼ばれてたの?」と聞くと、一瞬言葉に詰まり「○○とか△△とか…」とちょっと不自然な感じで答えていました。
 
ちなみに…偽名が発覚する前、私の親に挨拶するために実家に来たことがありましたが、その時も偽名を名乗っていました。
 
 
名前は人と接するうえで大前提です。そこに嘘をつくというのは衝撃的で、私には全く予想できなかったことでした
 
 
◆2回目の嘘
 
付き合った頃は、彼は元ヤクザだと聞いていました。(元ヤクザなら更生しているだろうから付き合ってもいいかな)と思いました。これも甘いですが。
 
「職業は?」と聞かれて「元ヤクザ」と答えるのは、自分がヤグサであることを隠したいヤクザだけです。
 
発覚した経緯は、私の友達でヤクザと付き合ってる子がいて「今度4人で会おう」と誘われました。
 
彼にそのことを伝えると「組同士の兼ね合いがあるから、そういうのは困る」と言われました。
 
私はこの時点では、彼は元ヤクザだと思っていたので「今もヤクザなの?」と聞くと、正式な組織名を教えてくれました。(名前が長すぎて忘れましたが山口組系です。)
 
これも、過去のことをよく思い返してみると、付き合って間もない頃に私のバイト先に彼が車2台で迎えに来てくれたことがありました。後部座席に彼が座っていた1台に、私も乗りました。
 
車を運転していた男性は彼に対して敬語で話し、緊張している様子でした。
 
目的地につくと、男性2人と私と彼が車を降り、男性2人は彼に対して「失礼します」と頭を下げて挨拶しました。彼はポケットに手を突っ込んで無言で立っていました。
 
彼の車をおいて2人はもう1台の車に乗りこんで帰っていきました。
 
私が「あの人たち誰?」と彼に聞くと、ちょっと考えて「部下」と言いました。私は「そっかー」と答えて疑問には思いませんでした。
 
当時の私は人を疑うということがほとんどありませんでした。自分は嘘を付かないし、つく理由もない。
他の人も同じだろう。くらいに考えていました。
 




1回目の嘘はなんとか乗り越えましたが、2回目の嘘が発覚したときに、今までの彼の言動がすべて嘘のようにも思え、何か本当か嘘かわからなくなり、信じられない気持ちと恋愛感情の間で苦しみました。
 
彼の愛情に関して言えば、演技であそこまではできないと思います。 
 
あれが嘘なら他の人も皆、平気で嘘をついていることになってしまうと思ったからこそ、私は人間不信に陥ったのです。
 
 
私はめったに彼にお願いすることはありませんでしたが、彼は私の願いをほとんど叶えてくれました。
 
お互いに「好き」と口に出して言ったことは、一度もなかったと思うけど伝わっていたと思います。
 
私は「言葉は、言葉でしかない」と考えていたので言いませんでした。でも、今は言葉でしか伝えられないものもあると思います。
 
転機②に続きます。
 
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【2018.4.28 追記】
 
レイプについて、なぜもっと抵抗しなかったのか?と、疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
 
「しなかった」のではなく「できなかった」のです。凍りつき反応と、自己防衛本能だと思います。
 
自分より何倍も力が強く、体格が大きい人に抑え込まれることを想像してみてください。毅然と立ち向かえますか?怖くはないですか?
 
また…あなたが信頼している人が、突然犯罪の加害者になり、自分が被害者になったとしたら落ち着いて対処できますか?瞬時に気持ちを切り替えられますか?
戸惑っている間にも、状況はどんどん進んでいきます。
 
被害者は被害を最小限に抑えるために、抵抗をやめてしまうというケースも多いのです。生き延びるための自己防衛本能です。
 
第三者がレイプの話を聞いて「なぜ○○しなかったの?」とか、ご自分は冷静な状態で安全な場所に立ちながら、被害者を責めるのは間違っています。
 
心の中でどう考えていても自由です。ですが、被害を受けた人に対して不用意な発言はしないでいただきたい。
 
被害を受けているときは危機に瀕した状態なので、精神状態も通常の状態とは大きく異なります。