家計の貯蓄性向が高い国では、一般に企業の利益率が低くなる。なぜならば企業が利益が低くても赤字を出しても、家計が貯蓄が多いため資金借り入れ、過大な債務保持が容易であるためである。
 前に見たように 金融資産=金融負債 であるため家計の資金超過分は企業、政府、外国が借り入れるということになる。1980年代までの日本の企業の利益率の低さ、及び国際経常収支の黒字の大きさは日本の家計の貯蓄率が高かったからと言うことができる。しかし90年代以降、政府の資金借り入れが加速化し、企業は過大な借り入れができなくなってきている。それで最近の大企業、優良企業は価格に転嫁するという形で、安定生存するために利潤率を大きくしなければならない状態になってきている。
 つまり最近の企業の利益率、内部留保が大きくなったのは、政府の資金借り入れの増大が原因であるといえよう。これからもわかるように政府の借金増大は企業活動も圧迫してきている。
 以上の考察でわかるように、他の経済主体の貸借行動が一定であれば、家計の貯蓄率の大きさは、企業利潤の大きさと反比例の関係にあるといえるが、他の経済主体の貸借行動によってはその関係性は違ってくると言えよう。