公開中の映画「マイウェイ 12000キロの真実」。
「シュリ」「ブラザーフッド」で知られる韓国のカン・ジェギュ監督の新作映画である。
主演はオダギリジョーとチャンドンゴンのダブル主演。
第2次世界大戦期、時代に翻弄されたふたりの兵士の宿命と友情を、朝鮮半島からヨーロッパをまたにかけ壮大なスケールで描いている。
日曜日の昼過ぎということもあり、そこそこ客は入っていた。また戦争映画、加えて韓国映画ということもあり、年配の客が多い印象。
PG-12 指定ということもあり、戦争の残虐さを詳らかに表現し、目を背けたくなるシーンが多々あった。
また極限状態におかれた人間の心理を上手く演出し、正気ではない人間の愚かさや救いのなさに、改めて考えさせられた。
カン・ジェギュ監督はインタビューで、「実話が基だ。上陸作戦で米軍の捕虜になった東洋人の写真と、その存在を追ったドキュメンタリー番組から発想を膨らませた」と語っている。
監督の言葉通り、当時、同じようなことが実際に行われていたに違いない。
ご都合主義的な場面もいくつかあるが、それが気にならないほど見応えたっぷりの映画である。
「天皇陛下万歳」という言葉をこの映画では何度も耳にする。
第二次世界大戦中、日本は天皇を神道としていた。天皇は絶対であり、忠誠を尽くさなければならなかったのだ。
逆らえば、本人または家族にまで被害が及んでしまう。
「天皇陛下万歳」と叫びながら自害する場面はとても印象的だった。
戦争において、利害・行動を正当化することは重要であり、そのために宗教は不可欠だった。つまり洗脳することで、人間を戦争の道具としたのである。
正気の状態で参戦した場合、恐怖心や不安、また良心がそれらを邪魔し、使い物にならない。ましてや特攻などとてもできない。
国民を統率するために、宗教は有能な道具なのである。
現在の日本には宗教による洗脳などあるはずもなく、むしろ無宗教に近い人が多いと思う。
二十代の私ですら、天皇に対する認識や、天皇のあり方というものをあまり理解していない。
宗教や天皇について考える必要もない時代、というと横柄だが、その価値を見いだせない世代なのだ。
ある意味素晴らしい時代なのかもしれないが、現在に至る過程の中で、先代の努力の賜物だということは忘れてはならないと思う。
たくさんの犠牲が重なり、今があるのである。
今が重なり、未来につながるのである。
だから、今、がんばってないと、未来の人たちに申し訳ないね。
先代はゴールに向かって、がんばってくれた。
現在がそのたどり着いたゴールである。
若い世代である僕らはそのバトンを渡された。
次に僕らがやらなければならないことは、スタートを探さなければならないということ。
そのスタートを僕らはまだ見つけてない。
ただ進めばいいゴールとちがって、間違った方向に進んでしまう可能性すらあるのだ。
洗脳されたら楽だなあ、と不謹慎にも考えてしまう今日この頃です(笑)