皆さんは柿が好きですか?
私の父は柿が大好きで、実家には柿の木があります。
小さな木だけれど、豊作の年はご近所にお裾分けしたり、カラスに食べられないように網を工夫してガードしながら干し柿を作ったりしています。
デンマークのスーパーにも柿が並ぶ季節になって、父の柿の木には今年は実がたくさんなったかなぁ?と気になります。
正直、柿を私はあまり好きではありません。でもスーパーで見つけると、父を思い、ついつい購入してしまいます。
デンマークで、柿は「KAKI」として売られています。輸入品だけど、もう少なくとも20年前くらいから普通のスーパーでも出回るようになったフルーツです。いい加減やめて欲しいけれど、20年前も、今も……いや今年はまだ掴まされていないので、少なくとも去年までは、渋柿があたかも甘柿のように平然と売られていることがありました。
それが甘柿か渋柿か?皆さんは外見で判断できますか?私には出来ません。でもKAKIとして売られていたら、誰だって甘柿だと思いますよね?
期待に反して渋柿を掴まされたときは、ムッとした勢いでスーパーにとんぼ返りして、文句を言い、代金を払い戻して貰ったりしていました。KAKIと言う日本語の名前が付いているフルーツがこんなに不味いものだと世間の人に思われたら残念!なんとかしなきゃ!なんて使命に燃えて……。
「『カキ』は『カキ』でもこれは『シブガキ』!このままでは食べれたもんじゃありません。渋抜きしてから出荷するように販売元に注意したらどうでしょう?」と私が言うと……
「それはまだ熟していないからではないですか?放っておけばきっと甘くなります」と言うのが店員さんの答えでした。
渋柿って、本当に放っておいたら甘くなるものなのでしょうか?
いずれにしても、シャキシャキしたフルーツが好きで、ドロドロになった柿は不得意な私にとっては、食べられたものじゃないってことに変わりありません。
店員さんはしぶしぶとお金は返してくれていました。
ところが去年、近所に新しく出来たスーパーで購入した柿が渋柿だったので、返金して貰おうと戻ったのですが、「味の好みでは返金は出来ない」と言われてしまいました。
(こんな味を食べ物だと思う人はいないわ!)と、呆れて空いた口が暫く塞がらなくなってしまった私でしたが、いくら反論しても、そのスーパーでは返金が無理そうだったので、しぶしぶ渋柿を持ち帰りました。
そして、(この渋柿をなんとか出来ないものか?)と調べまくりました。干せば甘くなるとは父から聞いて知っていたけれど、干し柿は私には甘すぎて甘柿よりも苦手です。それで辿り着いた答えは「熟した渋柿で柿酢を作る」でした。
柿酢と言うのは、私にはあまり馴染みがなく、使い道が未知だったけれど、「材料は熟した柿のみ、容器に入れて、最初のうちは掻きませながら、1ヶ月後くらいからはそのままにして3ヶ月程放置して、最後に濾せば完成」と言うシンプルな作り方に惹かれて、とにかく作ってみよう!と思いました。
去年、この柿酢について書いていたかと思いきや、全く書いていませんでした。写真もありません。
この秋最初に購入した柿は甘柿だったけれど、ひとつだけ食べて、残りは常温で2日放置しておいただけなのに、ドロドロになってしまったので、去年の要領で酢にすることにしました。
写真右上の瓶は、今年の1月25日に完成した(と言うか……、この後書きますが、完成したと思って、冷蔵庫に保管してあった)柿酢です。
数本完成したのですが、これはその一本です。
料理のクリエイティブ度不足で恥ずかしいのですが、実は柿酢の使い方が良くわからなくて、今の今まで、使わずにそのままになっていました。
それを今回やっと、とりあえずそのまま飲んでみよう!と大さじ一杯飲んでみて初めて気付きました。
酢になりきっていない、酸っぱい柿酒を作っていたことに……。
しかも、飲んだ量と体の反応から察するところ、ビールよりずっと高いアルコール度です。完成した時も味見したけれど、その時は気付きませんでした。
柿酢は、柿を発酵させて柿酒にした後、酢酸発酵させて酢にするのですが、その過程で失敗していたのだろうと思われます。柿酒のアルコール度が高すぎると酢酸菌が上手く活動できないそうなので、きっとそうです。
そして、この原因を突き止めようと調べていて同時に分かったのは、下に貼り付ける記事にある通り、日本では「酢造りの過程でお酒をつくる行為は、酒税法の対象となる行為です。許可なく造るのは法律違反となります。したがって、一般のみなさまは真似してはいけません」なのだそうです。
YouTubeに作り方を載せている方が沢山いるので、違法行為だとは全く思い付きませんでした。
https://www.tobaya.com/blog/healthy/20231227-kakisu-alcoholic-fermentation/
日本の酒税法は表現がちょっと曖昧で、果実が原料の場合は大丈夫、私用なら大丈夫、と解釈することも出来るみたいです。
いずれにしても、私はデンマーク暮らしです。そのような酒税法はないので柿酒だろうがなんだろうが、作っても違法ではありません。
でも今度はちゃんと酢になりますように!柿酢はとってもヘルシーだそうなので……。
瓶に入れて、綿棒でちょっと潰したら、このように既にドロドロ。
直ぐに、アルコール発酵が進みブクブクして来るのを観察するのはマッコリ作りと同じで楽しいです。
このブクブクは天然酵母パンにも利用出来、当然アルコールを含むけれど、「パン製造用の天然酵母を作るのは違法ではない」と酒税法にハッキリと書かれているようです。
う〜〜ん???全く同じ工程なので、なぜこれがよくて、あれが悪いのか?複雑で理解に苦しみます。両方とも最終目的は酒造りではありませんしね……。
さて、それはさておき去年は、柿酢の他に、米酢とリンゴ酢も作りました。
自家製ドブロクで作ったのは米酢は酸っぱさがイマイチでちょっと残念でした。アルコール濃度も、酢酸発酵も適度ではなかったのだと思われます。でも薄い米酢として利用してます。
唯一リンゴ酢だけは美味しく出来ました。リンゴはアルコール発酵の後の酢酸発酵がスムーズに進みやすい果実だから、初心者に作りやすい酢なのかなぁ?と思われます。これはやってみる甲斐ありますよ!(なんて、勧めちゃって良いのかな……?)