末っ子が通ったのはシュタイナー幼稚園でした。今朝会った彼女は、そのシュタイナー幼稚園の園長でした。
その幼稚園には、少人数を預かることができる保育園もありました。日本で言ったら古民家のような建物が改造された家が幼稚園になっていて、保育園は母家の方にありました。時々中に入る機会がありましたが、赤ちゃんたちが自分の家にいるように柔らかい空気の中で普通に生活していたのを見たと言う記憶があります。
孫のT君を通して、コペンハーゲンの巨大な保育園を見て(刑務所のようだ!)と言う第一印象を持ってしまったのは、私が知っているこの2つの保育園を比べてしまったからでした。
上の記事を書いた時は、孫が出来たらシュタイナー幼稚園を勧めたいって思っていたし、今もその気持ちは変わりません。でも孫はあくまで孫で、そこまで教育に口を出すわけには行きませんし、現実問題として通わせるのは難しいです。
シュタイナー教育で何がそんなに良かったのか?
一つあげるとしたら、それはなんと言っても、1日のリズム、1週間のリズム、季節のリズム、1年のリズム、子どもたちがそのリズムを自然に自分のものに出来るように、毎日毎日優しく繰り返される「生活のリズム」でした。
朝の歌の集まり、自由遊び、おやつ、その曜日のアクティビティ、お昼ご飯、童話の時間、自由遊び、おやつ、と言う1日のリズム。
月曜日は散歩と粘土遊び、火曜日は木材で工作、水曜日は遠足、木曜日はお絵描き、金曜日はパン作り、と言う1週間のアクティビティプランや、月曜日はお粥、火曜日はスープ、水曜日はお弁当、木曜日はライ麦パンに野菜のペースト、金曜日は焼きたてのパンに生野菜のサラダ、と言う食事プランが決まっていて、毎週毎週繰り返される1週間のリズム。
月々、季節折々の行事は盛大に祝われる、月々、季節、1年のリズム。
シュタイナー教育は土地に根差した文化を大切にする教育なので、キリスト教文化のデンマークのシュタイナー教育ではキリスト教の行事が重視されていて、普通の幼稚園ではあり得ない、カトリックの聖人の祭りなども大々的に祝ってくれるので、信者の私たちにとってはとても有り難かったです。
なぜ子どもにとってこのリズムがとても大切なのか?
私が息子をみていて一番感じたのは、単純に「体験したことが記憶に残る」と言うことです。
そして、それが実はとっても凄いことなのは「記憶力の強化」に繋がるからだ!と私は考えます。
先生が話したこと、友だちがした行動や発した言葉から、場所の香りや食べ物の味まで、その時何があってこう感じた、幼稚園で体験した本当に細やかなことを、5人の子の中で末っ子ほど記憶している子はいません。
必ず子どもの目を見て静かにゆっくりと話す園長。周りに流れる優しい空気。注意深く耳を傾ける子どもたち。
そして、それは幼稚園を卒園した後も続いていて、学校で習ったこと、先生が言ったこと、極々些細なことを末っ子は、一言一句、ちょっと恐ろしいほど良く覚えています。
記憶力の良さはバレエでも生かされています。
「一度覚えた振付は忘れない」と言う特技を息子は持っています。数年前覚えた振付を「さあまた踊ろう!」となった時、息子は音楽がなると直ぐに踊れるのに、仲間たちは振付を意外と忘れてしまっていることにとても驚かされ、「教えてあげるんだ!」と言います。
全てが、シュタイナー幼稚園に通ったからだ!とは言えませんが、この記憶する力の基礎が幼少時代に育まれたのは確かだと言えます。
不可能ではないかも知れないので、シュタイナー幼稚園をこれからも孫たちに勧め続けて行きたいです。
「うわー!会えて良かった!元気そうで良かった!また会おうね!絶対だよう!」
そんな風に思いっきり微笑み合った、一瞬の朝の出来事。一瞬だけど忘れられない、そんな記憶の一つになりそうです。