今日、3月29日、12時42分、デンマークのフォルケティング(国民議会)で、ウクライナのゼレンスキー大統領が演説しました。
「議事堂で発言できるのはデンマーク国民から選ばれた議員のみ」と言う規則があるので、議事堂があるクリスチャンボー城内の別の講堂に設置されたスクリーンからの演説でした。
ゼレンスキー大統領は先ず、ロシアのウクライナ侵攻はウクライナだけでなく人類への犯罪であることを、ロシア軍の非人道的な爆撃で膨大な被害を受けているウクライナ市民の苦しみを細かい数値や具体的な例を上げながら、厳しい表情に怒りを込めて、激しい口調で語りました。
次に、しかしこの戦争が終わる日が来ること、デンマークには復興の主導をお願いしたいことを、特に今朝被害を受けたと言う黒海の側のミコライウの名を具体的にあげて語りました。そこはかつては造船業が盛んだった都市だそうです。
経済的には、ロシア事業から撤退を決めた企業に対する感謝とさらなる協力が要請されました。具体的にはデンマークの港へのロシア船の入港を禁止すべきであることがあげられました。
また今こそグリーン・エネルギー戦略を強化し、ロシア産の天然ガスと原油の輸入禁止をヨーロッパが協力して実行すべきであることを熱烈な口調で語りました。
その使い方に疑問が残ったけれど、ロシアのトップの傲慢さはデンマーク独自の暗黙のルール、ヤンテの掟に反するものだと言及したり、ウクライナ市民から奪われてしまった家庭団欒に触れて、デンマークのヒュゲそして自由と解放の象徴でもあるロウソク文化に訴えて、デンマーク国民の心を掴みました。
かなり激しい口調で始まり、比較的やんわりと終わったのですが、胸が震える強烈な演説でした。
傾聴する議員たちの表情も時々画面に映されましたが、皆さん緊張した真剣な面持ちで、頷いたりして一言ひと言を噛み締めている感じでした。
演説が始まる直前までガヤガヤ周りの人と話していた議員たちだったのですが……
スクリーンショット。
演説が終わって拍手するメッテ首相の右隣には在籍デンマーク・ウクライナ国大使。
ゼレンスキー大統領は「私たちの平和と自由のために命を失ったウクライナの犠牲者を思い、今晩ロウソクに火を灯してください」と訴えていました。
多くのデンマーク家庭で、ロウソクに火が灯されることでしょう。