そして明後日からバイトが始まります。
遊園地、フライング・タイガー、別の遊園地、クレープ屋、幼稚園、H&M、彼女はまだ20歳ですが、今まで色々な仕事をして来ました。
でも明後日から始まるバイトは、医学生だから出来るバイトです。
そのことについて少し書こうと思います。
それは、看護師の代理を務める仕事で、勤め先は首都圏にある様々な国立病院です。
代理派遣事務所のリストに登録すると、希望の日に代理が必要になった時、どの病院の、どの科に、何時に行くように、と指示が出てバイトすることができます。
通常の勤務時間は8時間で、午前(7-15)、午後(15-23)、夜間(23-07)勤務があり、週末や祝日勤務もあります。
入学したばかりの大学生にそんな仕事が務まるの???と思いますよね?
代理派遣事務所に登録するには、先ず医学生(医学生会((Fadl))のメンバー)である必要があります。
バイトを希望する医学生は、事務所が主催する、82時間の実践と理論の講習を受けなければなりません。
そして試験があり、合格するとリストに登録することができます。
仕事の内容は、講習で身につけた能力に沿うもので、例えば、「患者の健康状態の変化を観察。新しい麻痺の発生、皮膚の色に変化、褥瘡、出血、疲労感、精神的不明瞭に注意する。体温と血圧の測定。脈拍と呼吸を数える。輸液、鼻腔カテーテルまたはハドソンマスクへの酸素補給の状態、ドレナージ、カテーテルなどが適用されているかを観察。などなど」と言った、観察して口頭、時には筆記で報告する仕事。そして「患者の入浴 の援助、口腔ケア。 目と鼻のケア。髪の毛と髭を剃る手伝い。着替えの手伝い。トイレ、食事の援助。 尿バッグの交換、患者への精神的なサポート、などなど」他にも沢山の実践的な仕事。極めて多種多様です。
医学部は、入学から卒業するまで12学期あるのですが、このバイトは1学期から12学期まで通してすることが出来て、経験を積むと、仕事の内容も変わって行くようになっています。
このように、デンマークには、「医学生が、初めから現場で働いて、病院の仕組みを体で覚える」と言うシステムがあります。
良いシステムだなぁ〜と思います。
実際にこのシステムで働き続けて今は医者になって働いている人によると、例えば、「看護師たちの仕事の大変さがわかって勉強になった」「色々な病院の、色々な科に行って、自分の道が見えてきた」などなどと言っています。
そして、ちょっと面白いのが、82時間の講習の後の試験の方法です。
実技試験なのですが、役者の才能のある医学生が審査員側で活躍しています。試験室に入ると、審査員と患者(実は患者になりきった役者肌の医学生)がいて、受験生は、患者の予期不可能な咄嗟の病状に、敏速かつ正確に対処出来なければならない、と言うものだそうです。
娘は、第1回目の試験で、「暴れるアルコール依存症患者」にあたり、その演技とは思えない激しい症状に、ただただ、たじろいでしまい、不合格でした。
第2回目の試験では、「足の麻痺状態を訴える、気難しい元医者の患者」にあたって、落ち着いて会話して対処することができ、無事に合格できました。
試験は2回までチャレンジできて、2回とも不合格だと、100%出席するのが必要不可欠な、82時間の講習を初めから受け直さなければならないそうです。
医学部の勉強は、それだけでも大変で、そちらの試験勉強もあるのに、少ないフリータイムを利用して夕方から始まり、週末は一日中続くこともある講習会そして実技試験の準備は、ハードなものらしいです。
「2学期は本業が大変なので、やり直しはきかない」と緊張して2回目の試験に臨んでいました。
だから、無事に合格できて、晴れて看護師代理としてのデビューの日も決まり、ワクワク、ドキドキしているようです。
夏休み返上で働く!と張り切っています。
さて全く関係ないのですが……
去年、スーパーで球根ごと植木鉢で買って、庭に植えておいたカラーの芽が出ているのを、最近発見しました。
ダリアなど、毎年球根を掘り起こして植え直すことが出来る人を尊敬します。
私には出来ません。
だから、そのまま植えっ放しにしておきました。
デンマークは寒すぎてきっと出てこない、掘り返してしまおうか?と思いながら、よくよく見たら出ていました。
ご覧の通り痛々しい様子(カラーさんごめんなさい)なので、今後はもう少し注意してあげようかと思います。