「Tivoli Ballet Theatre 」芸術監督の講演会 | 大好きな日々の覚え書き

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デンマークの暮らし、教育、天然酵母、麹、発酵の話、旅行の話、子どもたちを通して知ったバレエのことなどなど、ふと頭に浮かんだこと、思ったこと、感じたことをそのまま綴るブログです。

「Tivoli Ballet Theatre」はコペンハーゲンのチボリ公園、パントマイム劇場で活動する、バレエ・カンパニーです。

現在団員は約20名で、小さいですが、国際色が豊かなバレエ団です


先週の水曜日(14日)、「バレエ友の会」のイベントで、Tivoli Ballet Theatre 芸術監督 、Peter Bo Bendixenの講演会があったので行って来ました。

芸術監督が、「バレエ友の会」の会長のインタビューに答える、という形で行われたこの講演会でした。

デンマーク王立バレエ学校のオーディションに申し込んだ動機の告白に始まり、バレエ学校時代、ダンサー時代、そしてチボリ・バレエ劇場の芸術監督に任命されてから今に至るまで、滑らかなトークで、彼のバレエ人生、そして今後の計画について語られ、途中、バレエ団のダンサーとバレエ学校の生徒によるパフォーマンスも交えて、とても興味深い充実した1時間半でした。

「バレエ友の会」の会員達は、チボリ公園の裏口で集合しました。

クリスマスシーズンオープンに向けて最後の準備中(11月17日オープンしました)の公園内を通って、講演会の会場、チボリコンサートホールへ向かいました。イルミネーションが綺麗でした。



下の写真、2人の顔が全く見えないお粗末な写真ですが、23日に再初演の『くるみ割り人形』の舞台装飾をちょっと見ることができるので載せておきます。


そして以下は講演の内容です。

Peter Boさん自身の言葉によりますと、彼は王立劇場とは全く無縁の庶民の出身だそうです。

近所の遊び友達の中に、バレエ学校に通っている男の子がいて、ある日その子がある話をしているのを聞いて、バレエ学校に興味を持ち、聞いたその夜に、お母さんに、「バレエ学校に入りたいと伝えた」そうです。

そのある話と言うのが、「今日、女の子の更衣室を覗き見しちゃったぜ」だったそうで、冒頭から会場の笑いを誘っていました。8歳の時だったそうです。

その裏話を知らずに、オーディションの告知を新聞で見つけて、申し込んでくださったお母さんのお陰で、今の彼がある、と言う事です。

オーディションで生まれて初めて劇場に入り、重々しく暗い建物、独特の雰囲気の大人たちに驚きながらも、緊張感と本物の香りに魅せられて、その時(なんとかしてここの一部でありたい!)と強く感じたそうです。

それは1974年4月9日のことだったそうです。

オーディションに立ち会った教授陣の中にはVera Volkova もいたそうです。彼女は、1975年に亡くなっていますので、直接レッスンを受けることはなかったそうですが、彼がバレエ界で生き残れたのは彼女のご加護があったからに違いない、と感じるそうです。(なんでも、オーディションの時「僕を(不合格にしないで)明日も呼んでくれ!」と彼女に直談判したらしい!です。

学校時代、彼が指導を受けた教授は、Niels Bjørn Larsen、Flemming Flindt、Erik Bruhn、Stanley Williams、とデンマークのバレエ史に名を残す人達ばかりです。

当時の同級生たちは、今デンマーク王立バレエ団の幹部で活躍していて、とても恵まれた学校時代だったそうです。

その中で、バレエ学校時代に最も影響を受けた人を1人あげるとするとHenning Kronstamだそうです。この人を慕う人はデンマークに数多く、素晴らしいダンサー、優秀な指導者、人格者だったと思われます。

ただ、Peter Boさんは、何をさせてもクラスで1番出来が悪く、毎年「本来なら落第なんだけど、あと一年頑張ってみる〜?」という感じで合格し続けたらしいです。

「首席はプレッシャーがキツイ」「ビリだったから伸び伸び出来た」そうです。

そして、彼が今、芸術監督として人材選びで気を付けているのは、「一見出来が悪そうなダンサーの中に可能性を見つけること」だそうです。

1984年にデンマーク王立バレエ団に入団。翌年ハンブルグへ移籍。ジョン・ノイマイヤーとの出会いも彼のダンサー人生に大きな影響を与えたようです。

3年後デンマークに帰国。ソリスト、プリンシパルと昇進していきました。

「1番好きな役を1つあげて下さい」と言う質問への答えは「オネーギン」でした。オネーギン役、「もう一度踊れるものなら踊りたい」そうです。

「Tivoli Ballet Theatre」(チボリ・バレエ・シアター)は、パントマイム劇場で踊るので、最近まで「パントマイム劇場」と、ごく自然に呼ばれていたのですが、今は正式に名前が「Tivoli Ballet Theatre」と改められ(命名され)ました。

(パントマイム劇場がバレエ劇場になる?)(え!バレエカンパニー???)(なんか大袈裟なんじゃないの〜?!)と、チボリ公園の片隅にある野外劇場を上目でチラリと見て、お愛想笑いを浮かべる人がいたようです。

でもヴィジョンを持つ芸術監督は、自信にあふれていました。

「Tivoli Ballet Theatre」のダンサー達は、春、夏シーズンには総数300と言う、パントマイム、古典/モダン バレエ、ブルノンヴィル バレエの公演をチボリ公園のゲストの為にこなし、冬は王立劇場のオペラに出演したり定期的にクリスマスシーズンの公演にも出演しています。

2019年には女王さまの新作も発表されます。

2012年に開校されたチボリ・バレエ学校も、優れた教授陣、パントマイム劇場の舞台に上がることが出来る可能性が魅力で大人気、年々規模が膨らんでいます。
今では、私立のバレエ教室としては、デンマークで唯一、プロになるためのバレエ教育を受ける事ができる信頼できる教室として、その地位を固めています。

凄い野心家だなぁ〜とは昔から思っていましたが、彼の大きなヴィジョンが次々に実現していくのを見て、凄いなぁ〜と心から感心しています。


うわぁ〜このブログ長くなりました〜〜!

でも、もう1つ!

11月23日再初演のPeter Bo Bendixen版『くるみ割り人形』の グラン PDDは、団員ペアーの他に外部から、ゲストが出演して踊ります。

3組のゲストが予定されているようですが、キール市立バレエの日本人男性ダンサーがパートナーを連れてやって来る、と話していました。

デンマーク人の、日本の姓の発音は聞き取りにくく、HizuだからShizuだかと仰っていましたが、、、キール市立バレエのダンサーリストを見ると、もしかしたら、この方かな〜と思うのですが、はっきりわからないのでお名前は書きません。

Peter Bo さんはキール市立バレエで2017年にブルノンヴィル の『ラ・シルフィード』をセットアップしたこともあり、繋がりがあるようです。

とにかく12月15、16、17にその方達が出演されるらしいので、息子に「観に行こうよ〜!」と誘っているところです。