長年の疑問は「草食動物」の存在だった。
野人の専門は海洋学であり、陸もまた元は海であり海洋学の範囲だ。
陸の生物はすべて海から上陸した。
海藻は植物となり、甲殻類は昆虫、魚類は脊椎動物に形を変えた。
貝類には肉食もいるが、多くはプランクトンや海藻を食べる種だ。
甲殻類も肉食雑食だが、海の魚類には草食はいない。
だから陸の脊椎動物に草食はいないはずなのだ。
海と違って陸は草食動物がいなければ食物連鎖が成り立たないというのは人間の考えであり、草食動物存在の道理ではない。
海においても魚は主食が肉でも、アイやブダイ、黒鯛のように海藻もスイカもトウモロコシも食べる。
肉食雑食だから陸に上がって草を食べてもおかしくはないのだが、植物しか食べない草食動物の存在がどうしても理解出来なかった。
この疑問が解消されたのは2年前のことで、草食動物もまた肉食雑食動物であることに気づいた。
肉食、草食、雑食など人間の分類はたいしたことではなく、動物がどのようなエネルギーで生命を繋ぐか、それが重要なのだ。
生物学ではなくエネルギー論で解けばこの疑問の答えは出る。
生命は自力で移動出来ない植物か、動物に分かれる。
海の植物性プランクトンから動物性プランクトンが誕生した。
静と動で陰陽の一対、これが生命の繁栄をもたらした。
繁栄にはどちらのエネルギーも必要だからだ。
海藻が今の形で繁栄したのは海に満ち溢れた動物性エネルギーのおかげだ。
陸の植物族がここまで繁栄したのもまた動物がいたからだ。
受粉や種の運搬など数ある協生の仕組みがそれを示している。
海では蔓延した植物性プランクトンで動物性プランクトンが増える。
小型魚を中型魚が、さらにそれを食べる大型魚が・・
エサとなる魚が日々成長することで食物が枯渇することなく成り立っている。
海と違い生息域に「深さ」がない陸では海での仕組みが成り立たない。
成り立つのは多くの草食動物がいるからであり、いなければ肉食動物は存在出来ない。
海に深くかかわって来た野人理論では
脊椎動物は動物性エネルギーでしか命を繋げない。
つまり多くは草だけで命が繋げるはずがないのだ。
その謎が解けた時、「何でこんな簡単なことに今まで気づかなかったのか」と、喜びよりも落胆した。
謎を解くカギは植物にあり、海藻同様に植物のセルロースは動物に分解出来ない。
それが出来るのは微生物だけであり、微生物が植物を元の空気に戻せる。
草食動物も当然出来ないから微生物にやらせている。
その為に幾つも胃袋を持ち、体も、草食恐竜や象やカバやサイや牛のように巨大化する種が増えた。
草食動物は動物性エネルギーを大量の微生物から摂り、不足する制御エネルギーを植物から得ている。
つまり肉食雑食の部類に入る。
重要なことは腸の長さではなく、胃の機能なのだ。
エネルギーが得られれば、消化効率が悪い草の大半を糞として排出しても問題はない。
草が完全に消化されるまで体内に留め置くよりも、新たな草と微生物を補充したほうがはるかに動物性のエネルギー取得効率が高いからだ。
続く・・・
動物の食性とエネルギー源 1
https://ameblo.jp/muu8/entry-12254101098.html
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