ひじきの 赤ちゃん
磯は周年食べ物の宝庫、通りがかれば何か必ずいただくのが野人としての礼儀。
山道も同じで、四季を通して木の実や山菜やキノコをいただき続けて来た。
わざわざ準備して海山に気合いを入れて行くことはなく、ついでで良いのだ。
車で通るのだから道具が必要なら取りに戻れば済む。
曇り空の下、岩に腰かけウェットスーツを着た海女さんをしばらく眺めていた。
早春の磯にはひじきの赤ちゃんがすくすくと育っている。
これから4月にかけて1m前後に成長、解禁日から数日ですべて刈り取られる。
店頭で売られる黒いもじゃもじゃのひじきとは似ても似つかないもので、知らない人が見ればとてもひじきとは思えないだろう。
干しては灰汁でアクを抜き、それを繰り返してあの細いひじきに仕上がる。
今は水の綺麗な外洋近くでしか見られないが、ひじきは湾内の磯にも群生していた。
汚染が進むほどひじきやわかめなどの褐藻類は衰退、アオサなどの緑藻類にとって代わる。
サザエやアワビは餌となる褐藻類がなくなれば生きて行けない。
この30年間で褐藻類の領域は湾内から消えつつある。
見た目の海の色は綺麗でも水質は異常、農業と生活排水が原因でそうなってしまった。
農薬と言うより肥料が圧倒的、化学肥料は地下水から海へ、入浴剤などの洗剤は川から毎日のように海へ注ぐ。
伊勢の田畑は大量の牛糞を土に鋤き込むが、土中深く分解されなければ腐敗、分解されて無機になれば化学肥料と同じ道をたどる。
化学肥料も有機肥料も環境汚染はまったく変わりなく、環境に優しい道理は何処にもない。
環境を破壊するものが健康に優しいはずもないのだが、オーガニックやエコなどの優しい言葉と人間の思いだけが先行している。
それらを吸い上げ分散する草は表土になく、排水を浄化する水草も生態も川にはない。
海に窒素分などの無機が異常に流れ込めばプランクトンも異常に増殖、酸欠を引き起こす。
肥料の量は30年前とあまり変わりないが、家庭から出る入浴剤や洗剤の量は数十倍に激増した。
銭湯に代わり家庭風呂に温水シャワーが当たり前、家族全員が石鹸シャンプーリンス歯磨き粉を日に何度か使い、全自動洗濯機の普及と共に毎日の洗濯が当たり前になった。
人口と田畑が減っても、昔のように河口で泳げる時代は来ないだろう。
かろうじて循環の許容範囲だった海の崩壊に拍車をかけたのは入浴剤と洗剤とも言える。
この2年で、褐藻類と生き物が消えた透明度の高い外洋と、酸欠で大量に死んだサザエが転がる透明度のある湾内の海底を潜って目撃した。
ブログで親父ギャグやうんこの話ばかり書いてないで、急がないと海からひじきの赤ちゃんが消える日が近いかも知れない、そう感じながらこの日食べるだけの食べ物をいただいて来た。
残り少ないクチナシの実 見逃してあげる
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