竹とUFOの緊密な関係 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

これはいつだったか忘れたが、10年以上連載エッセイを書いている雑誌「凪」に「竹取物語」と言うタイトルで載せた原稿だ。

もう時効だろうから紹介する。



かぐや姫が竹から生まれて宇宙へ旅立ってからどれくらい経つのだろうか。
竹藪の中に入るとかぐや姫を思い浮かべる人は多いだろう。目的は筍掘りなのだが、つい竹の根元を観察、空を見上げてしまう。竹は何処にでもあるが、むしろ有り過ぎて困っている。竹はすべてを覆い尽くしその領域を広げて行くからだ。
竹に勝てる植物など地球上にない。最初から竹よりもはるかに高く育っていれば別だが、竹藪の中で新たに樹木は育たない。竹は木にも草にも属さない特異な種で竹は竹なのだ。その成長エネルギーは凄まじく、あの太いタケノコは1日に最大1m伸びる。

同じくらい伸びる植物は日本では葛のツルくらいだが、せいぜい箸の太さ。足の太さほどの茎が伸びる仕組みとエネルギーは驚異的で、いまだ詳しく解明されてはいない。

竹と言えば竹細工と筍と竹炭くらいしか思いつかないだろうが、竹は暮らしに密着していた。特に竹の皮は防腐効果が強く、おにぎりには必需品だった。実験してみると防腐剤などよりもはるかに優れている。

真夏は、本来の塩分の梅干しを入れたおにぎりを竹の皮で包めば翌日も食べられるほどだ。

これを「エコ包装」として何とか復活させようと考えている。南天の葉も防腐効果が強いからこれも使えば完全で、ビニル製のお飾りは必要ない。普及すれば山間部のおばあちゃん達は喜ぶことだろう。

世界各地で目撃される未確認飛行物体が地球に来る目的の大半は「竹」・・だ。

南西諸島に浮かぶ活火山の諏訪瀬島に昔一年間住んだが、島中が琉球竹と言う細い竹に覆われていた。

そこによく・・出るのだ・・アレが。

昼間ポッカリ空に浮かんだアレを見て島民に話すと、島では子供でも知っているくらい常識だった。その親の学校の先生に確かめると黙ってうなずく。

何故アレが飛んでくるのか考えてもわからないことは考えない、そんなこと気にして人間やってられないと言いながら黙々と筍を食っている、何とものどかな島だった。

アレがまさか宇宙からタケノコ掘りに来るはずはないだろうが、大地最大のエネルギーの活火山と植物の中では最大エネルギーを持つ竹、共通点はある。

野人が生まれたのは竹からではないが竹の家で生まれた。

家族は敗戦で台湾から九州の郷里に引き揚げて来て間借りしていたが、建設業だった祖父はやがて畑に竹の家を建てた。

村人が見に来るほどそれは素晴らしい豪邸で、そこで生まれたのだ。

その快適さもその年の秋の台風で・・全壊して終わってしまった。

かぐや姫は竹から生まれたが、野人は竹の家から、さほど大差はないから親しみが湧くのだ。

短期間であそこまで成長して食と建材と燃料と暮らしの快適さをもたらしてくれる竹をもっと活用すべきだろう。あっと言う間に森を築き砂漠化解消にも役立つ。

宇宙へお帰りあそばされたかぐや姫の「竹取り物語」も竹の神秘性から生まれたのかも知れないが、かぐや姫がタケノコ食っている姿は絵にはならない。



連載東シナ海流21 空飛ぶ万年筆

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