2匹の亀 | 野人エッセイす

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5月の連休 2度目のマリンビレッジ
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3月半ば過ぎ、2人はマリンビレッジにやって来た。

野人の返信に大喜び、休日を利用して京都から日帰りで話を聞きに来たのだ。

仲良く、喧嘩しながら1週間もかけて懸命に書いたメッセージに心打たれないはずがない。

内容は切実で、志と確固たる意志を持っている。

学問を極めたわけでもないのに2人とも野人の理をすべて解し、素直に受け止めている。

実際に話をして確かにそれが伝わって来た。


メッセージが届く前から野人は2人が来ることを知っていた。

セファリメンバーには野人に起こることをある程度予知する者がいて、メッセージの3日前に連絡があったのだ。

「野人の舟に小舟が猛スピードで近づいてくる」

「中身は空洞だが、確かに生きている硬い甲羅の亀が2匹、野人の舟の暗闇の舳先に懸命に歩いて行こうとしている」

予知する本人には何のことかわからないのだが、野人がこれを解読する。

その日から確かに近づいてくる感覚が強くなっていた。

そして3日目に亀達からのメッセージが届いた。


仲の良い2人の目は澄んでいて笑顔が絶えない。

余計な雑念がまったくなく、知識も技術もなく、あるのは地球と生き物に向けた大きな志。

中身は空洞だが硬い甲羅は確固たる意志。

徒手空拳で暗闇に向かって一歩一歩ゆっくりと進んで行こうとする亀だ。

空洞の中を埋めるのは野人の役割なのだろう。

野人の舟の舳先は途方もなく高い波の陰で暗闇、世界の常識の壁と言う巨大な波、何のためらいもなく舳先へ向かっていくのは勇気がいることでなかなか出来ることでもない。

野人は嬉しかった。


ヤマウド
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