茶屋人の茶園の改造工事が始まった。
事前の設計図はなく、無茶人は現地で茶の木の間引き箇所を決めたが何度も書き直した。
一列間隔で間引く場所、2列連結で残す場所、果樹を配置する場所は決まった。
茶屋人は決まった場所からユンボーで工事に入る。
疲れたら無茶人と交代、ユンボーくらい簡単、数日で完了するだろう。
この茶畑は数年前から一切農薬や肥料を使っていない貴重な畑だが、茶屋人は躊躇なく間引いて改造に入った。
無茶人に将来の全てを賭け、託しているからだ。
他は無農薬だが油かすなどの有機肥料を少量施し、JASマークを取得している。
丁度半数の茶木を間引き、間に野菜や果樹を配置、数年のうちには目立つ茶畑になるだろう。
周辺からの「非常識」だという風当たりも茶屋人は覚悟している。
今でも雑味のない飲みやすいお茶や紅茶だが、多彩な植物の協生によりさらに味が変化するだろう。
多くの鳥や虫が集まれば天然肥料もバランス良く集まり、無茶人は生命の協生でさらに茶の発育が良くなると考えている。
単純計算では収量は半分になるはずだが、3分の2は確保出来るはず。
茶の味はさらに良くなり、半分は協生野菜が毎日でも収穫出来る。
労力とコストは激減、野菜の密度にもよるが、片手間でも総収益は5倍以上にはなる。
茶木の占める面積を半分にして何も与えなければ仕事は楽になって収益は数倍に増えることを証明する。
この実験の結果と産物販売網の確保が全国波及のカギを握っている。
波及すれば茶畑が地下水や海を汚染することはなくなり、荒廃した茶畑も新たな形で復活する。