紀伊国屋文左衛門のミカン 2 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

今のミカンは皮が剥きやすく酸味の抜けた水っぽいミカンがもてはやされているがまったく食べる気がしないのだ。

原種でもあるコミカンばかり好んで食いまくったせいだろう。

昔からこのコミカンは店頭に並ばず正月のお飾りに使われ、「葉付きミカン」とも呼ばれていたが、この木のある場所を知り尽くしていたから何の問題もなかった。

子供の頃から野人の本能が求めたミカンはこのコミカンだけだ。

考えて見ると良い、樹木が子孫を残すには種が不可欠。

タネもない果実に本来の生命力はあるはずがないではないか。

野人が協生果樹園を作る時の柑橘類の中心はこのコミカンになる。

他には、キンカン、ハッサク、アマナツなど種のある原種に近いものしか植えない。

生命力の強いコミカンなら今のミカンと違い農薬や肥料はまったく必要ないのだ。

このコミカンは食用としてはほとんど市場に出回ることはない。


やっとのことで野人はこのコミカンを手に入れた。

ミカン山の爺ちゃん婆ちゃんに、「本当にあんた・・これ食うの?」とバカにされても、「小さいから収穫が大変」と断られても・・

「ぜ~んぶ言い値で買うから人を雇ってでもとれ~!」と強制執行命令を下した。


まさか・・あの腰の曲がったバアちゃんが・・こんなにとって来るとは思わなかった。

5キロか10キロ・・しかない・・と言っていたのに・・うそつきババ

「言い値」の魔力はババの腰まで伸ばしてしまった。

全部で・・50キロ、食い切れる量でもなく高くついた・・・

全財産はたいた今は、ちょっとだけ・・後悔している・・

それくらい野人のコミカンにかける情熱は凄かったと言うことだ。

紀伊国屋文左衛門のように全財産はたいて手に入れたコミカン~~!

食べる商品と見なされてないから最も農薬を使わない古代ミカン。

文左衛門のようにミカン船に積み込んで東京へ運ぶか・・

生薬の陳皮は元々このコミカンで、七味にも使われるくらい香りが高く、皮もお菓子や入浴剤に利用出来る。

大切にマリンビレッジの冷蔵庫に保管しているから3月までは毎日食えるかもしれん。

レストランの客にも出すが、是非食ってみたいと言う読者にはお分けしよう。


小さなものはキンカンくらい
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1キロ当たり イクラにするか タラコにするか・・

電卓ではなく 両手の指を使って計算する

500えんくらいか・・算数は苦手だ