野人の手首の腱は相当太い。
足の腱も同じだが、手首足首が細い割には太い。
大学は男ばかり、武道、男臭くて非常にむさくるしい世界で生きて来たのだが、さらに腱の太い男は一人しかいなかった。
腱は筋肉を引っ張るものだが、これが強かったおかげでこれまで随分役に立った。
仕事柄、命拾いしたのも一度二度ではない。
手首を使うスナップ力、パンチ力が抜群、空手の演舞、試割りなどによく借り出され、好きではないのだが板やブロックの他、ビール瓶の首も手刀で素っ飛ばした。
3本指での逆立ち歩行や、手の甲で腕立て伏せは苦もなく、跳躍力、蹴りも空手部の中でも群を抜いていた。
練習はつまらないのであまり行かず、武道ではなく流派を超えた独特の武術を磨いた。
腰も強靭でギックリ腰もいまだ経験ない。
小学生から櫓を漕ぐのが趣味だったせいだろう。
しかしここに来て筋肉の衰えが目立つようになってきた。
運動はとても・・うんと・・嫌いだがそろそろ鍛え直すかな。
ケン虚に腱に感謝し、ケン康維持に努めよう。
これから相当な体力を要するだろう。
特に意味はないのだが北東に向かって腱と拳を磨くことにした。
お前はもうシンデレラ・・などと言われたくはない。