野菜に品質を求めた農業 1 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

人類の進化の歴史は数百万年とも言われるが今と同じ種は数万年だ。

食料の分布に合わせて家族単位で暮らした狩猟採取の時代が圧倒的に長く、そこからは文明らしきものは生まれなかった。

農業が安心して食べて行ける集落を生み、互いに知恵を駆使、創意工夫から文明は飛躍的に進歩した。

つまりすべての産業や学問は農業と共に誕生、発展したのだ。

文明とは効率を高めることでもあり、農業もまた例外ではなく同じ道をたどった。

より早く、より多く、立派に育てることで十分な食料が確保出来るようになり、人口が増えることで工業などにも拍車がかかった。

その視点で捉えれば農業は間違ってはなく、文明の発展に最も貢献したとも言えるだろう。

しかし農業は同時に負の遺産も背負いこんでしまった。

食料は財産の始まりであり、持つ者と奪うものとの争いが武器と戦争を生みだした。

鉄器農具は武器と化し、それは今も変わらず異常な発展を遂げ、国家間の戦争も絶えることはない。

農業がもたらしたもう一つの負の遺産は人間にとって最も重要な「健康」であり、誰もが持つ切実な欲求だろう。

今の文明はこの健康と引き換えにもたらされたものであり、身を削り、地球を削って築いたものとも言えるのではないだろうか。