ゲンゴロウの悲劇 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

水生昆虫のゲンゴロウが東京都内から絶滅したと言う。

ゲンゴロウと言えば昔は何処の池にも住んでいて子供達の人気者だった。

野人の家の裏の池や近くの小川や田んぼなど至る所で見られた。

ゲンゴロウの他、蛍やヤゴやフナやドジョウやメダカなど、いて当たり前だった。

生き物が住めない水が健全なはずもない。

糧を得る為には仕方ないと言う人間の道理が通るなら、自分達の健康を害するのも仕方ないと言う道理も納得出来る。

因果とはそういうものだろう。

いつまで「仕方ない」が通用するだろうか。

それを修正するのは人間の義務だと思うのだが、あまりにも不甲斐ない。

今の仕組みが壊れて困る人は多いが、壊れなければ困る人の方が圧倒的に多いはずだ。

猛威をふるった公害汚水は法規制により浄化槽で抑えられた。

それにもかかわらず絶滅は進んでいる。

生活排水も農薬や肥料汚染も、水が綺麗なら危機感は薄いようだ。

海の生物にしろ、川や池の生物にしろ、身を賭して彼らが警告しているのだ。

絶滅危惧種は12年前より274種増えて1577種になったと言う。

彼らと立場を替えて考えて見ると良い。

野人の答えははっきりしている。

仕方ないと言うのは言い訳であり、結果として人のやり方は間違っている。

いつまでその間違いを人は引きずるのだろうか。

他の生き物だけでなく人間自身も病み、どうにもならないところまで来ている。

個人的な努力によるエコ活動レベルの問題ではなく、世界の常識そのものを変えない限り事態が変わることはないだろう。

元に戻せるのは人間でしかない。