野菜の生命力は完全な土壌から生まれる 6 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

柔らかく立派な野菜をてっとり早く作りたいなら化学肥料農法でかまわない。

柔らかく立派な味のある野菜をじっくり作りたいなら有機農法が適している。

野菜を商品や食糧と考えるならそれもやむを得ないだろう。

しかし健康と環境を重視して農業や家庭菜園をやっている人もいるはず。

そんな人は野人の言う「生命力」が理解出来るはずだ。

土壌を耕し、肥料と水を与えて早く立派にするほど植物の成分バランスは崩れ、生命力はそれに比例して失われて行く。

丹精込めて世話をして野菜が「喜ぶ」ことなどなく、ひたすら葉を肥大させて大地の浄化槽としての使命を果たそうとする。

既に養分と言う異物があれば大きく根を張る必要もなく排出に没頭する。

人間はその性質を活かしてアシやホテイアオイを水の浄化に利用しているのだ。

その植物の分散処理は短命の虫の仕事で、長寿の動物に不可欠な食材ではない。

野菜は、甘さや柔らかさやみずみずしさなど人の好みの感性で判断するものではなく、余計な世話を焼かなくても自力で育った野菜は誰が食べても美味しいものだ。

成分や栄養分重視の人間は病気に悩まされ、同様の野菜や家畜、ペットも同じように悩まされるが、自然界には自らが原因の病気は基本的に存在しない。

地球上には地表で朽ち果てる動物、植物はいても、土中に封じ込まれて朽ち果てる生物有機物はいない。

根や虫やモグラなどは必ず大地と通気しているから問題は無い。

有機物の分解は地表で行われ、微生物が健全な大地は草と虫が築くものなのだ。

そして不要な成分は地表に排出されて土中は常に清浄を保ち、水もまた浄化される。

だからこそ生き物は地上で生きて行ける。


続く・・