「協生農法」の誕生 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

ピラミッド農法の正式名称が決まった。「協生農法」だ。

命名者は「原人」で、先日完成した原人の畑にも「協生農法実験実証農園」の看板が掲げられる。

今日この時間、東京代々木公園に皆が集まり、デザイナー「地下足袋猿人」の主導で看板の枕木に文字を書いている。


最初はわかりやすく森羅万象の「物理農法」としたが、文系の友人達から「そんなものジンマシンが出る、誰も読まん」とヒンシュクを買ったので、適当に「ピラミッド農法」としていた。まあ特に愛着もないし、協生農法のほうがわかりやすい。



野人の農法は農業に自然科学、海洋学、生物、物理、数学を持ち込んだもので、すべて自然界の理に適った農法だ。しかし「野人農法」も怪し過ぎる。

自然農法や自然循環農法も、自由な解釈で用いられているので紛らわしい。

農法と名が付けば、家庭菜園ではなく、やはり業として成り立つ農業が前提だろう。



協生農法は、完全なる自然循環農法ではあるが、近代農法の10倍以上の生産量と、10分の1以下の経費と労力が特徴だ。それに耕す期間も育てることもしないから「毎日」が収穫になる。それも同時収穫ではなく長期収穫だ。間引きして捨てることもしない。

混生、密生が基本だから狭い土地を立体的有効的に使う。やることは種蒔きと草と向きあうことだけだ。



最初は植物や動物を利用するつもりだったが、今はそんな気は完全に失せた。

彼らが協力し合うからこそ完全な土壌が築かれ、大地に生命力が溢れ、野菜が自力で育つのだ。本当の意味で「地力野菜」とも言えるだろう。

単なる共生関係ではなく、共生して作物を彼らから大量にいただくから協生であり、共同生産なのだ。一方的で彼らを必要としない現農法は協生とは言えない。

「協力して生まれる」「協力して生きる」、この農法そのものだ。

漢字でも、英名でも非常にわかりやすく、世界中に普及させるには最適だろう。

寒さの中、看板作りに励む猿人や原人や女性陣は、前日に続いて今日もまた夢を語り、世界波及戦略を練ることだろう。

あと数日で原人はフランスに帰る。



普段いい加減な原人が真面目に考え、この名に至ったいきさつはまた次回に紹介する。文章からは原人の思考回路が垣間見える。