キャベツが青虫を養う理由 10 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

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キャベツの作戦は青虫から得られる糞だけではない。人が考える以上にキャベツの知恵は深い。

野人も思わず・・「あんたは偉い!」を連発した。



ここから先は絶賛敬服に値する。

鳥がキャベツの頭に置き土産の「糞」を残すからだ。

鳥は身軽に空を飛ぶ為に食べた端から糞をするように出来ている。

それは青虫の糞の数十倍で、同じようにキャベツの根元に集まって行くようになっている。マメに通う鳥もまた青虫を通してキャベツの成分を戻している。

キャベツを収穫すると、葉の根元には青虫の糞に鳥の糞も混じっている時が多いがどちらにもキャベツの成分が含まれている。

青虫の大量の糞と鳥の糞は全て1本の太い根を伝ってキャベツが吸い上げる仕組みになっている。無駄がないのだ。自らを固定する太い根とその周りのヒゲ根だけで事は足りる。



青虫が多いほど鳥が集まり、適当に青虫を隠すほど滞在時間も長くキャベツの成長も早い。最高の共生の典型とも言えるだろう。

さらに感心することは、地表を占領するキャベツの下には自分の根以外に草が少ない。溜まった糞が雨で一気に流れ出すと自らの根だけでは吸収出来ず地下に浸透した糞水は土壌を汚染する。だから毎日のように広い葉で夜露を集めて少しずつ茎に沿って根に流し込んでいる。もう一つの地表の浄化槽としての使命も忘れてはいない。

キャベツは人間と違い効率だけでなく「エコ活動」にも責任を持っている。



人間がこの完全なキャベツにエサをやる理由など何処にもないし、青虫を取ってやる理由もない。おこがましいとも言えるだろう。

それを唱える農学者も関連機関の人も一人もいないのはおかしい。

余計なことばかり考案すれば農家も消費者も大地も迷惑する。




最終11に続く