海を元のように戻したい | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

一昨日、「大量の化学肥料が海を変える」と言う記事を載せたが、その続きで、肥料と並ぶ海洋汚染のもう一つの原因は生活廃水だ。

かって海や川をヘドロで埋めた工場排水は規制され、東京湾にも魚は戻った。田舎の川を観察しているが、世帯や人口が減少しても川の水はなかなか元に戻らない。台所と洗濯での洗剤使用量は昔と大差ない。主な原因は入浴剤だ。昔と違って今は一人一人がふんだんに使っている。それが河川の浄化能力を超えているから徐々に汚染は進んでいる。日本一の清流に指定されたこともある宮川も、河口に堆積するヘドロが増えつつある。自ら潜って調べたのだ。循環を無視した河川工事もそれに拍車をかけている。

洗剤廃絶運動をやるつもりはない。洗剤は必要なものであり使い方が問題なのだ。落ちにくい油汚れには必要だが通常の人体には必要ない。植物も動物も表皮に適度な脂分と微生物がなければ生きて行けない。それが自然界の道理だ。両方洗い流せば汗と共に出たタンパク質などの有機物は分解されず、腐敗し、体臭となり、衣服にも付着して洗濯も大変になる。よくコマーシャルで耳にするが、「頑固な汚れに・・」など本来はないものだ。洗剤など月に一度くらいで十分間に合う。洗濯が常識なら、風呂もシャワーも温水も無い大昔の人達はさぞかし汚れと悪臭に悩まされたことだろうが、そのような文献はあまり見ない。

そのほうがほうが楽だと思う人、目からウロコと感じた人が楽しくやってもらえば良い。このことはこのブログで何度も書いてきたが、新しい読者が増える限りこれからも書き続けるだろう。そんな人が少しでも増えれば 人間が皮膚も食べ物も大地も正常に戻せば間違いなく環境は好転する。そして海も川も必ず綺麗になる。さらに自らの健康も驚くほど改善されるはずだ。

伊勢湾は危機的状況だ。友人である海の博物館の館長も昔からそれを訴えているのだが、海の崩壊はさらに進んでいる。





「大量の化学肥料が海を変える」で長々と書いた野人のコメントも手を加えて再度紹介する。



自然循環のスタートは植物性プランクトン、さらに海藻。陸へ進出して植物・・・ それらは動物が出すリン酸と共に繁栄してきた。野菜に肥やしを与えるほど肥大し、それも環境破壊・・土壌のバランスが壊れれば虫も働き、植物と共に養分を地上に分散、正常に戻そうとする。太古から微生物と植物と虫はそうして動物などの糞尿や死骸成分を分散して土壌の均衡を保ってきた。それが自然界の絶対的な道理。人はその過程の正常ではない野菜を好む。柔らかくて食べやすくて美味しいと言うのが最大の理由だが、細胞が膨張した野菜は健康とはあまり関係がない。結果、本来必要な「植物」を食べる機会を失った。

今の農業と並ぶ海洋汚染の最大の原因は生活廃水だ。だから人工が減っても川は綺麗にならず汚水は海まで流れる。食器洗いくらいならともかく、毎日大量の入浴剤、歯磨き、洗濯機乾燥機の普及で急増した洗濯・・・これらの排水ははみな人体から出すリン酸が含まれる。

本来は口内も髪も皮膚からのリン酸を含む有機物はすべて自らの微生物で分解、空気と水にしてしまう。他の生き物はすべてそうなっている。人間だけが 快適さの為に出さなくても良いリン酸を海に垂れ流している。肥料は化学肥料であろうが有機肥料であろうが大差なく、大量のリン酸の行き着く先は海しかない。