こう書くとなにやら難しい実験のような気もするが簡単だ。無精者の野人は掃除洗濯は大嫌いで滅多にやらないが、これでも清潔好きだ。風呂に数日入らなくても臭くはならないが、一応毎日湯や水浴びはする。夏の3ヶ月はほとんどお湯は使わない。水浴びなら渓流や小川でも構わない。冬は体を温める為に浴槽に入るが、やはり人並みに浴槽や洗い場は汚れてくるから数ヶ月に一度はスポンジたわしで掃除する。これが面倒臭くてたまらない。そこでひらめいたのが「自動浄化槽浴場」だ。浄化槽はトイレの浄化槽を思い浮かべると良い。微生物に分解させるから浄化された水は川に流せる。風呂場でウンチするわけでもないからそれほど微生物にも苦にはならないはずだ。おそらく水質を常に綺麗に保つだろう。浴槽の水を頭髪の洗浄にも使えば洗い場の床も同じで汚れないはずだ。浴槽や床の油膜や垢はすべて分解してしまうはず。蛇口とシャワーは封印、洗剤も一切使わない。循環式の浴槽ならおそらくパイプの中も分解して詰まらず、沸かすだけで良いのだが、野人の風呂はユニットバスでガス湯沸かし器だ。どこかでヒーターを調達、それで浴槽を温めるしかない。予想では有機物はすべて分解、有機的な濁りはないだろうが、泥やホコリなどの無機質は分解しないからその分汚れる。入浴前に体を洗えばそれほどでもないだろう。泥などの無機質の汚れが気になるなら小型のろ過装置をたまに循環させれば良い。フィルターでゴミを除き、櫓材には微生物が住みつく。魚の水槽やホテルの浴場はそうしている。さらに工夫して微生物に浴場全体の掃除までやらせようと言う考えだ。
理論では何年でも腐らず入れるはず。浴槽のお湯を洗い湯に使う以上その分減ってゆくから、バケツ2杯分くらい補充すれば良い。適度な微生物が住み付き、適度な有機物をエサにする。有機物とは自分の体のもので、体と同じ好気性微生物と水質に合った嫌気性微生物が浴槽と風呂場全体に行き渡るはず。石鹸を使わないから汗の有機物は分解されてほとんどない。浄化槽のようなエアレーションはいらない。毎日入れば水を適度にかくはんして腐らない。数日入らなくても有機物を食べ尽くせば休眠しているはず。うまく行けば数ヶ月経ってもバスルームはピカピカのはずだ。塩素入りの水道水を使えば無理だろう。つまり自分で掃除しなければならなくなるし毎回浴槽の水を替えても出来ない。
この計画の決行を決めたのはある話を聞いたからだ。10年以上風呂の水を替えずに使っている変人がいた。水は真黒だが腐敗していない。まるで何十年も継ぎ足して使う「くさやの干物」や「うなぎ」のタレに近いのだ。汚れは泥など無機質の汚れだろう。上がり湯でシャワーを使えば問題ない「泥湯」みたいなものだ。それを参考に、湯も濁らず、風呂場全体も綺麗に保つ方程式がひらめいた。微生物に「水質保持」と「浴場掃除」をやらせる野人の悪知恵と思えば良い。野人農園も土壌の保持は微生物と草、肥料とサポートは虫と鳥にやらせるから手はかからず耕耘機もクワも使うこともない。それと同じだ。
自分の肌と浴場の微生物は兄弟で一体だ。水も使わず汚水もまったく流さず体も健全だろう。不精な一人暮らしには最適だが、家族で複数使用は抵抗があるかも知れない。しかし上がり湯を使えば何の問題もなく昔はそうやっていたのだ。水不足でどうにもならない時代には役立つことだろう。失敗してもあきらめることはない、次の方程式を立てれば良い。
環境浄化はもとより皮膚の病気も一掃出来るかもしれない。工夫だけで経費はかからないのだ。入浴剤費も浴槽洗浄費も労力も水道料も。