自家製 塩ぶり茶漬け | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

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塩ぶりは新巻鮭と並び昔からある日本の食文化だ。冷蔵庫のない時代、干物と並ぶ保存法だった。昔から日本海のブリを塩漬けにして飛騨地方まで山を越えて運んでいた。鮭やブリに限らずどんな魚でも出来る。干すか漬けるかの違いで、塩スズキや塩ダイがあってもかまわないのだ。煮物にするなら脂ののった寒ブリが良いだろうが塩は身に通りにくく時間もかかる。野人の塩ブリはお茶漬けように作った。お茶漬けにはあまり脂がギラギラ浮かず程々が良い。だから寒ブリよりも脂がやや抜けた春の彼岸ブリが丁度良いし価格も安い。ブリとまではいかなくても4キロくらいのワラサで良いのだ。大量に定置網で獲れれば養殖ブリよりもはるかに安価だ。

茶漬け用の塩ブリを作ろうとした動機は単純だ。野人は鮭茶漬けが好きだった。しかし今は昔の塩鮭は売っていない。健康の為だか何だかわからないが、減塩だの薄塩だのバカバカしい。弁当のおかずなら丁度良いのだが、お茶漬けにしたら塩が足りないし、賞味期限も短い。すぐに腐る減塩梅干のようなものだ。梅干や塩辛でも同じだが、人は体の機能が正常なら塩辛いものを大量に食べる事など出来ない。自分で調整すれば済む。ここまでご丁寧にお膳立てするのは病人食のような気がする。

この地方は鮭は獲れないがブリならすぐに手に入る。自分で作るならそのほうが簡単で良いからすぐに作った。煮物用なら骨は気にしないがお茶漬けは骨を取るのが面倒だ。鮭茶漬けもあの瞬間が一番嫌だから最初から骨のないヒレにして塩をまぶした。

食べてみればこれがまた旨い。最高の傑作品だ。焼けば酒の肴にもなるし少し食べれば良いのだ。スライスを真空パックしておけば何年経っても味は変わらずこんな重宝するものはない。野人の冷凍庫には3年前の塩ブリがまだ入っている。しかし・・減塩なんて・・何処のバカもんが言い出したものなのかそれが知りたい。減塩梅干にしろ、さぞかし食品保存料屋さんも潤う事だろう。それに振り回される消費者もおかしい。生き物の仕組みをじっくり考えてみればすぐにわかることで塩漬けは世界人類の食文化だ。