動物が傷口を舐める科学的理由 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

犬や猫などの動物は傷を負うと必ず傷口を舐める。舌が届かない場所は仲間が舐める。他の動物もそうして傷口を舐めあう。これは慰めあっているわけではなく本能であり治療だ。指を切ると今でも無意識に口に含む人が多いのは本能がそうさせているからだ。出血すれば消毒して包帯やバンドエイドと習いはしても、舐めたほうが正しいと正式に習ったことはないはず。にもかかわらず多くの人は舐めている。つまり、ドラキュラではないが「血の味」を知っている人がほとんどだ。動物は子供の頃から誰に習うでもなく必ずそうする。野人も子供の頃からそうしてきた。消毒して薬を塗って包帯や絆創膏も使ったことはあるが必ず化膿してしまうからだ。治癒は極端に遅くなる。

医者や薬が傷口を治すと信じている人は多いかも知れないがそんなことは絶対にない。医者は傷口が開かないよう固定するだけで皮膚の自然治癒力が傷を治している。傷口を塞ぐ薬などは存在しない。だから自然治癒を促進したいなら動物に学ぶほうが早い。唾液には強烈な血止めと修復剤の酵素が含まれているだけでなく痛みも抑制する。だから口内の傷は乾かないにもかかわらずすぐに出血が止まるし傷口も塞がる。重要な器官だから皮膚と違って極端に早いのだ。皮膚は放置すれば血小板が傷口を固めてかさぶたになり酵素が修復するが、口内は血小板なしで血を止め修復も早い。唾液は最強の治療薬なのだ。歯磨き粉を使わなければ粘膜も酵素も微生物も正常になり、虫歯にならず、歯痛も化膿もない。

子供の頃、大怪我をした猫に毎日薬を塗ったが必ず舐めてしまう。不味くて食えるものでもないのに何度も何度も舐めるのが不思議でたまらなかった。舐められる場所はすぐに治るが、舌が届かない頭部などは薬を塗っても化膿していた。今思えば毎日猫の唾液を塗ってやれば良かった。大きな傷を負った動物は、犬でも猫でも熊でも猪でも動かずにひたすらじっとしている。腹が減らないと言うより体の機能が修復に全力を挙げて空腹信号を出さないからだ。つまり生命維持に必要な酵素以外の体中の他の酵素が傷口に回っていることになる。人間も病気になれば程度によっては食欲がなくなるはず、同じ機能が働いているからだ。そんな時に「食べて体力つけなきゃ駄目よ」と勧めるのは間違っている。酵素不足の胃に負担をかけてはならないし、食べるなら無理のない生もの少々が良い。病気見舞いの果物には立派な根拠がある。野人も昔から具合が悪くなればじっとうずくまって何も食べない。そのほうが早く回復するからだ。尻に・・重症負ったら・・誰か舐めてくれ。