干さない野人の梅干15年物 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

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定かではないが、これは野人が15年以上前に作って忘れ去られていた梅干だ。面倒で干したりはしないから正確には「梅漬け」だ・・。傷や黒い染みがあるのは、放任した無農薬の梅を使ったからだ。当然肥料もやっていない。赤シソも無農薬だ。台所の下の戸棚を整理していたら、そこにあった。ビンではなくかめに入っていたので水分は半分以上蒸発、取り出すと塩の結晶が氷砂糖のように四角くなって張り付いて何とも不気味な梅になっていた。食ってみたら旨いのだが死ぬほど・・辛い。それでお椀の中の山水で「塩抜き」して食べ始めたのだが本当に旨い。梅干は本来こうあるべきだろう。石のようにカチカチになった100年物の梅干もあると言う。当然水で戻さないと岩塩をかじっているようなものだ。着色したものや減塩、味付き、保存料の入ったものは気持ち悪くて食えないし、塩分摂りすぎなどは余計なお世話なのだ。知らないうちに塩分摂りすぎなどほとんど病気に近い。動物の機能はそのように出来ている。出来なければ海水と一緒に食餌する水鳥はすべて高血圧になって飛べない。味覚機能が正常ならそんなに塩辛いものはたくさん食えないし、食ったとしても体外に排出する。だから昔から「塩蔵」と言う保存法が使われてきた。たくさん食べたいなら塩抜きすれば良いのだ。感度の狂った自分の舌を責めるならともかく、塩分の多い食品を責めるのは本末転倒だ。自ら私は病気ですと宣言するようなものだろう。

食文化として伝わった梅干は腐るものではない。本来必要のない保存料などは愚の骨頂としか言いようがない。売れないからとこぞって減塩や味付けに走る製造業者もおかしい。自分達の梅干にもっと誇りを持つべきだろう。消費者の認識と舌がおかしいとはっきり言えば良いのだ。昔の梅おにぎりや日の丸弁当は防腐効果も備えていた。