野人が5年前に作った梅の黒糖ジュースだがまだ生きている。
生きたジュースと言う言葉はあまり聞いた事がないだろうがこいつは間違いなく生きているのだ。
だから何年経っても飲めるし腐ることなどはない。
この中には梅の酵素と微生物がビッシリ詰っている。
微生物は冷蔵庫で休眠しているが常温で置いておけば活性してあっと言う間にジュースがシャンパンになってしまうだろう。
このジュースは水を一切使っていない。
100%梅から出た水分だ。
酸味も甘味も人が調整するのではなく微生物にやらせる。 作り方は簡単だが出来上がりが難しい。
相手は生き物だから醗酵を止める瞬間が真剣勝負なのだ。 梅は農薬を使わない放置された梅しか使えない。それを洗わずにざっとゴミを落としてから使う。
重量の35%の黒糖にまぶして放置すると梅の表面に付着している微生物が猛烈に活性化、梅から水分が流れ出て1週間で出来る。
しわくちゃになった梅は梅酒の梅と違ってまったく使えない。生のカスなのだ。
売られている綺麗な梅は何日待とうが変化はない。
水分は梅だけだから梅酒の容器7分目入れた梅と黒糖から1リットルも取れない。 温度によって活性が異なり、6日で止めるか8日かかるかは見ながら決める。
早ければ甘すぎるし、遅ければ酸味がきつくなる。
放置すれば色が薄くなりやがては透明のシャンパンになってしまう。
止めたらすぐに冷蔵庫に入れて保管、キャップをきつく閉めると破裂するので緩めに閉めておく。
少しづつ活動するから長期保存する場合は早めに止めて甘味を強くしておけば良い。
飲む時に甘過ぎれば一日常温で置いて活性させて酸味を調整する。こんな気難しいジュースを飲んでいる人はあまりいないだろうが、生き物だから仕方ないのだ。
まあ野人は生きたジュースを何年も冷蔵庫で「飼っている」と思えば良い。
濃度が濃いので水で4倍くらいに薄めて飲む。カルピスと同じだ。この味は、想像を絶するくらいに美味しい。
熟年の夫婦に飲ませたら「何これ~!今まで飲んだことない美味しさ!」と絶叫したくらいだ。
野人はこれを15年以上前から作り続けているが、前の会社で女の子に飲ませたら、喜ぶのだがそのうち嫌がる。 胃が活性化して腹が減って減って昼まで持たないと言うのだ。 昼食時に飲めばこれがまた消化が良すぎて退社まで腹が持たないと言う。
何とも困ったジュースだったのだ。
洗わない果物なら何でも出来るが酸味とのバランスがとれた梅が一番美味しい。
以前に友人で高齢の東大工学博士にあげたことがあった。取り扱いを厳重に注意したのだがたかがジュースと舐めてかかった。ジュースは大爆発、噴火して天井一面ににつららが・・・掃除はさぞかし大変だっただろう。旨いのだがこれは「生きた危険物」なのだ。
3月16日の「目からウロコ耳から尾びれ」の記事「ジュースが天井まで噴火」
http://ameblo.jp/muu8/entry-10080322141.html