海鳥は天敵がいないのか人をあまり恐れない。漁船の後にはおこぼれを頂戴しようと群がるし、遊覧船の観客に食べものをねだる鳥もいる。自力で捕らず楽をしようなんて、チャッカリしていると言うか厚かましいのだ。釣りをしていると2匹のウミネコが寄ってきてプカプカ浮いていた。オスとメスで、これがまたやかましい。二匹でわけのわからない声でイチャつき始めた。「ニャーニャーゲコゲコ」うるさいことこの上ない。たまに上になったり下になったり・・・そんなことは何処かよそへ行ってやってもらいたい。魚が釣れるとこちらを注目する。キスが釣れると「知らん振り」、小さな雑魚が釣れると、いちゃつきを止めてすり寄って来るのだ。放してやる小魚が元気ならすぐに潜ってしまうから、猫は追いかけるがすぐにあきらめる。助からない弱った魚は簡単にくわえることが出来る。写真はコダイをくわえた瞬間だ。鳥は目が良い。普段は船の後ろでプカプカ浮いていても「自分のエサ」だと思ったら目の前まで飛んで来て着水、自己主張するのだ。フグは一度くわえたがすぐに吐き出した。身は美味しいのだがヌメリと臭みとエラに棘がある「ヌメリゴチ」は、くわえ直したり、何とか食べようとしばらく努力していたが、とうとうあきらめて吐き出した。さすがに「猫またぎ」と呼ばれる魚だけのことはある。ウミネコはまたがなかったが食えなかった。ウミネコの奮闘を見ていた観客は大笑いだった。海鳥には海のもの以外の食べものを与えてはいけない。他の野生の生き物にも同じ事が言える。野生の狸だって餌付けは出来る。以前に、裏山の狸が夕方になると社員の弁当の残りを漁りに来ていたが、1年後には毛が抜けて死んでしまった。人には無害と言われる量の添加物など、彼らには耐えられないのだ。可愛いからと、野生に人が介入すれば逆に彼らの命を縮めることになってしまう。