アケビとミツバアケビの葉の違い | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

国内にアケビの仲間は4種類ある。アケビ、ミツバアケビ、ゴヨウアケビ、ムベだ。

似たような実がなり、同じつる性のムベは常緑の椿に似た葉だが、他は落葉樹だ。ムベ以外の三種は葉の形も花の形も異なるが、実の形も味も変わらないからさほど区別することもない。アケビの花は白く、ミツバアケビの花は紫でどちらも小さいが綺麗な花だ。アケビの実は子供の頃から山で親しんだご馳走だった。実が自然に開くところから「開け実」の名が付いたと言われている。種が多く、食べると言うより白く甘いわたをしゃぶって種を吐き出す。野生の果実の中では一番素朴な甘さを持っている。新芽は苦いが、アクを抜いておひたしなど山菜として食べられる。またアケビの皮も肉を詰めて揚げ物に使われる。アケビのつるは漢方では木通と呼ばれ古くから利尿薬にされている。他にも、強靭なアケビのつるはかごなどのつる細工にも重宝されている。人は古くからアケビを暮らしの中に取り入れて親しんでいたようだ。また、口を開かないムベは、室町時代、朝廷にも献上されるような珍果とされていた。写真は左がアケビ、右がミツバアケビの葉だ。意外と気がつかないだけでアケビは身近な山にいくらでもある。