土は表土が大切 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

土とはそもそも何か、地球上の表土の厚さは平均して20cm、そんなに厚くはない。松やツツジは岩の裂け目にも根を張る。アスファルトの隙間にも屋根の上にもわずかな土さえあれば植物は育つ。地球は元々溶岩なのだ。気の遠くなるような年月を経て風化され、無機質の砂になり、やがて土が生まれた。土中深くまでふかふかの土など存在しない。最初に土に生命力を吹き込んだのは植物だ。動物は植物なくして生きられない。また動物がいるからこそ植物はここまで繁栄出来た。つまり双方一体なのだ。無機質から生まれた植物や動物などの有機質を分解して元の無機質にして土に戻すのは「微生物」だ。微生物がいなければ地球上の有機物は分解されず「ゴミの山」が築かれる。逆に微生物がいなければ植物も動物も生まれず、ゴミが生まれることもない、そういう相関関係なのだ。この三者が土を作り、土の正常な機能を保っている。土の主な機能はその表土にある。土中には植物の根と、一部の生物が入り込み枯れたり死んだりして有機物を残す。地球上の大半の植物動物などの有機物は表土で役目を終える。それが微生物のエサになり無機質に分解、雨がそれをまた根に浸透させ植物の「養分」となる。それが土の仕組みだ。土の中にも微生物はいるが一番多いのは草や葉の表面だ。草や実が生を終えるとさっそく「分解」にかかる。微生物はエサがないと繁殖出来ない。林の中の「腐葉土」と呼ばれるふかふかの土は微生物が分解した産物。保水力があるから適度な湿度も保ち、生き物の温床で養分も豊富だ。本来の養分とは草、木、葉、動物、微生物なのだ。それらが豊富なほど土は肥える。植物が表土を覆い、それをエサや住処に虫や微生物が集まり、保水力を保ち、表土を紫外線や乾燥から守っている。それが健全な土と言うものなのだ。言われるまでもなく、自然を観察して考えて見れば誰にでもわかること。それが土の本質ならば、今の農業の「土作り」はあまりにも土の本質からかけ離れているようだ。自然の道理をさておき、毎年深く掘り起こし、堆肥や肥料や土壌改良剤や、消毒と称して薬品などを大量に入れる。人知はそこまで自然のメカニズムを超えているのだろうか。自然界が生み出す産物はおろか、葉っぱ一枚の機能も超えることが出来ないレベルなのに・・・現に、この数十年間でもああだこうだ、いやあれは間違っていた、この薬品は使用禁止だとか、右往左往している。生命を生み出す森羅万象に人知は足元にも及ばない。人のエゴは環境の破壊しか生み出さない。もっと足元の視点で本質を見極めるべきだろう。土は表土に草や木の葉を置くだけで十分なのだ。後は虫や鳥や微生物の仕事だ。そんなことは子供にでも出来る。素直な小学生に教えたらさぞかし健康で立派な畑が出来るだろう。堆肥作りや肥料、そこに生息しない特殊な微生物など教える必要もない。重機もいらないし労力もお金もかからない。勉強する事と言えば基礎的な「自然科学」と、「草の特性」だけだ。「知恵」は野菜と草の調整だけに使えば良い。